研究課題
申請者は、エステル化カロテノイドの蓄積に欠陥がある2系統のトマト変異体(pyp1, pyp2)を解析している。PYP1遺伝子はエステレーゼに保存された領域を保有することから、この遺伝子はカロテノイドのエステル化を触媒する酵素であると推測した。そこで、PYP1遺伝子によるエステル化の酵素活性を測定する実験系の立ち上げを行った。キサントフィルを合成するプラスミドpAC-VIOLを大腸菌に形質転換し、そこに野生株型のPYP1遺伝子の全長、あるいはミスセンス変異が導入されておそらく酵素活性を失すると思われる変異型のpyp1-2遺伝子の全長をそれぞれ形質転換する実験を試みた。その結果、pyp1-2遺伝子の形質転換には成功した。今後、野生株型PYP1遺伝子を導入した大腸菌を作出し、野生株型と変異型の遺伝子を導入した大腸菌同士を比較することで、エステル化反応の実験系を立ち上げることができると期待される。一方、PYP2遺伝子の候補として、tetratricopeptide repeat モチーフを有する遺伝子を同定していた。前年度までにこの遺伝子発現をアンチセンス法により低下させ、pyp2変異体の表現型が再現された形質転換体を得ていたため、本年度は遺伝子の発現解析と花弁のカロテノイド測定を実施した。花弁色が薄くなった4つの独立の形質転換体において、開花期の花弁よりmRNAを単離してqRT-PCRにより遺伝子発現を調べたところ、いずれも野生株と比較して15-33%の発現量であった。また、そのうち3つの独立の形質転換体より開花期の花弁をそれぞれサンプリングしてカロテノイド含量をHPLCにより分析を行った結果、いずれも野生株と比較して20%のカロテノイド含量であることを明らかにした。これらの結果により、候補として同定していた遺伝子がpyp2変異体の原因遺伝子であることを証明できた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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