研究課題
本研究は、コレステロール動態の調節に関わるタンパク質Noppera-bo(以下、Nobo)の機能解明を目指した。昨年度までに、カイコガのnobo遺伝子のノックアウト個体を作出して表現型解析を実施し、noboが昆虫種を超えてコレステロール動態調節に関与することを明らかにした。本成果は本年度に論文として公表した。併行して、Noboの内在性基質を解明するために、Noboの生化学的および構造生物学的な研究に従事した。昨年度までに、Nobo組換えタンパク質を用いたNoboの酵素活性を簡便に追尾する試験管内反応系の確立に成功した。今年度は、哺乳類女性ホルモンであるエストラジオールが、試験管内反応系においてNoboの酵素活性を強く阻害することを見出した。この成果は本年度に論文として公表した。エストラジオールはステロイドであることを踏まえて、多様なステロイド類のNoboへの阻害活性を検討した。その結果、ステロイド類の一部、特に昆虫の主要ステロイドホルモンであるエクジステロイドの生合成前駆体の一部が、Noboの酵素活性を強力に阻害することを発見した。また、これらのステロイドがNoboと物理的に直接結合すること、そして構造的にもNoboの特定のタンパク質部位と特異的な相互作用をすることを確認した。これは、ある種のステロイド類がNoboの阻害活性を持つことを示すとともに、昆虫発生時のNoboの内在性基質はステロイド類であることを示唆する重要な成果である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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