研究課題/領域番号 |
25712012
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
士反 伸和 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (20547880)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルカロイド / 転流 / タバコ / ニコチン / 輸送 / MATE transporter |
研究実績の概要 |
植物は外敵から身を守るため、アルカロイドなど生理活性物質を生産する。これら物質は特定の器官やオルガネラに蓄積されるが、その輸送機構の全容は未だ明らかとなっていない。本研究では、根で生合成され葉に蓄積するタバコのニコチンアルカロイドをモデルとして、輸送体を介した根から葉へのアルカロイド転流の包括的解明を目指している。本年度は、葉における液胞蓄積に働く輸送体や根における取り込みに働く輸送体などの解析と論文化を行うことができた。詳細を以下に記す。 ①葉における液胞内へのニコチン輸送体JAT2の同定と解析 葉の液胞膜に局在し、ニコチンを液胞内に輸送するJAT2について、出芽酵母を用いた輸送機能解析により基質特異性を含めて詳細な解析を行った。それらをまとめて、論文として発表をした(Shitan et al., PLos One 2014)。 ②根における細胞膜上のニコチン輸送体NUP1の解析 根において細胞膜に局在するNUP1という輸送体について、出芽酵母を用いた細胞輸送系により、そのニコチン取り込み能を証明するとともに、基質特異性も解析した(Kato et al., Phytochemistry 2015)。 ③根におけるニコチン排出機構の解明 水耕栽培を行った根について、ニコチン輸送能の検出系を確立した。本実験系によりニコチン輸送を解析し、根においてニコチン/プロトンアンチポーターが働いていることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた輸送体の解析が順調に進み、論文にすることができた。また、根における輸送機構の解析用の実験系の確立など、着実に進んできている。
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今後の研究の推進方策 |
①葉におけるニコチン取込み機構の解明 これまでにクローニングしてきた取込み輸送体の候補について、その輸送能や基質特異性を解析する。 ②根からのニコチン排出機構の解明 ニコチン/プロトンアンチポート機構について、細胞内膜の分画を行い、詳細に解析していく。また、排出輸送体の候補であるJAT1の過剰発現タバコを用いた細胞内局在などの詳細な解析を進めていく。 ③各種輸送体の形質転換植物、培養細胞の作出 各種輸送体の過剰発現、発現抑制した毛状根の作出が進んできている。さらに、①でクローニングした輸送体候補の形質転換体の作出を進める。 ④形質転換体のアルカロイド含量の定量 上記で作出した形質転換体について、より大きく発現上昇、抑制できている株の選抜とアルカロイド含量の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行にあたり、当初予定よりも人件費が安く収まったことが大きな理由となります。
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次年度使用額の使用計画 |
実験補助員をさらに一人雇用し、より効率的に研究を進める予定です。また、作出してきた多くの形質転換体について、アルカロイド量の解析などに、多くの消耗品を必要とするため、それらに使用する計画を立てています。
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