研究課題
若手研究(A)
本研究の目的は、中国内モンゴルの自然草原において種を除去する実験操作によって、生物多様性の消失が単一および複数の生態系機能とその安定性に与える影響とその仕組みを解明することである。当該年度は、植物の生育期間である7月から9月にかけて、以下の調査を行った。植物種の多様性のレベルが操作された128の実験プロット(6m四方)において、種組成(出現種およびその被度と個体数)の調査、チャンバー法を用いた純一次生産量の定期測定を行った。また植物生育の最大期(8月中旬)に、地上部生産量および地下部バイオマスの測定を行った。全128プロットに出現した植物種の形質(葉面積、葉の生重と乾重、葉高、葉の強度、根重、根の太さ、根の長さあたりの面積、種子重など)について、1種あたり6~30個体を対象に測定を行った。また、生物多様性が生態系機能に与える正味の効果を検証する目的で、実験プロットに出現する主要種を対象とし、次年度に単植プロット(1m四方)を作成する予定である。そこで当該年度は、その単植プロットへの播種用に、対象種の種子を収集した。9月末に植物残渣(リター)の回収を行い、各実験プロットにリターバッグを5つ設置した。これらのリターバッグは、次年度以降、毎年一つずつ回収を行う予定である。地上部および地下部バイオマスのサンプル、各植物種のサンプル、そしてリターのサンプルの化学分析(窒素や炭素の含有率など)を次年度に行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた実験プロットを確保することができ、また調査工程は滞りなく完了することができた。また、次年度以降に行う予定の調査や実験の準備も当該年度中に終えることができた。研究は順調に遂行されている。
次年度以降は、当該年度と同じ調査および測定を繰り返し行う。次年度は、当該年度あらかじめ採集した植物種の種子を用いて、単一栽培区画を作成する。単一栽培区画にもリターバッグを設置し、次々年度以降に回収を行う。当該年度と次年度のデータを合わせ、機能的多様性を網羅的に算出し、単一および複数の生態系機能を最も良く説明する機能形質の組合せを特定する解析を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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