研究実績の概要 |
C1 カルボラン(CHB11H11-, monocarba-closo-dodecaborate)は 1 個の炭素と11 個のホウ素からなる、高い対称性と剛直性を有するアニオン性分子です。このC1カルボランについては様々なユニークな特徴を持つ一方、その修飾化反応が極めて乏しいことから、機能創出・機能性分子創製などの応用例は非常に限られていました。申請者らが開発したクロスカップリング反応により、はじめてその炭素頂点上に様々なアリール基が導入可能となりました。 C1カルボランアニオンのユニークな特徴の一つとしてσ芳香族性が挙げられますが、これが共役などにおいてどのような性質を示すかは未知でした。そこで、開発した方法によってはじめて得られた1-C-アリール化 C1カルボランアニオンを用いて、そのσ芳香族性とπ芳香環との電子的相互作用について検討しました。12 位ホウ素頂点上のヨウ素化反応における置換基効果の解析ならびに理論計算により、この“σ-π共役”の詳細が明らかになりました。 また反応化学としては、開発したクロスカップリング反応における銅試薬の優位性について理論計算を用いて明らかになりつつあります。その結果を基に、さらに一般性の高い高活性なクロスカップリング反応の開発につながりつつあります。
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