研究課題/領域番号 |
25713003
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00547870)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インターフェロン / 遺伝子治療 / DDS / ルシフェラーゼ |
研究概要 |
インターフェロン(IFN)は抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、免疫調節作用など種々の生理活性を持つサイトカイン群であり、癌やウイルス感染などの種々の疾患への治療薬として臨床応用されている。本研究では、IFN癌遺伝子治療法の開発を目的としてプラスミドDNAにコードされるIFNタンパク質の構造のデザインによる、IFNの体内動態と生物活性の向上について検討した。本年度は、腫瘍組織へ集積性の高いIFNの開発を目的として、IFNとほぼ同じ分子量を有するGaussia luciferase (gLuc)をモデルのタンパク質として、種々の構造を有するgLuc誘導体を作成し担癌モデルマウスを用いて腫瘍組織集積性の高い構造のスクリーニングを行った。酸性アミノ酸の一種であるグルタミン酸の4・8・12個繰り返し配列、あるいは塩基性アミノ酸の一種であるアルギニンの4・8・12個繰り返し配列の付加によって負電荷あるいは正電荷を付与したgLucをコードしたプラスミドDNAを投与した結果、腫瘍組織へのgLuc活性の集積性に有意な変化は認められなかった。別途、分子量の増大による血中滞留性の向上による腫瘍集積性の改善と、分子量増大によるIFN受容体への親和性の低下によるIFN生物活性の低下の回避の両立を目的とし、マウス血清アルブミン(MSA)あるいはその一部を融合したgLuc誘導体をデザインした。その結果、MSAの一部を融合したgLuc誘導体は、MSAを融合したgLucと同様に高い血中滞留性を示すことを見出した。また、腫瘍組織に親和性を有するリガンドの融合による腫瘍集積性の改善を目的として、癌細胞および腫瘍組織の新生血管の内皮細胞に高発現するインテグリンを標的とするRGD融合gLucをコードするプラスミドDNAを構築した。構築したプラスミドDNAを担癌モデルマウスに投与したところ、RGDの融合により腫瘍組織への集積性が向上する可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討において、gLucを用いて腫瘍へ集積性の高いタンパク質の構造についてのスクリーニングを行い、腫瘍集積性を示しうる構造を見出すに至ったことから、研究はおおむね予定通りに進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で得られた研究成果を基にRGD融合IFNおよびMSAの一部を融合したIFN誘導体を設計し、その体内動態とIFN生物活性について評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部のgLuc誘導体発現ベクターの構築が遅れたために、担癌モデル動物での腫瘍集積性の評価が行えなかったデザインが存在するため。 前年度に担癌モデル動物でのスクリーニングが行えなかったgLuc誘導体について、担癌モデル動物での腫瘍集積性を評価する。
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