研究課題/領域番号 |
25713008
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大庭 誠 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20396716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膜透過性ペプチド / ドラッグデリバリーシステム / 非天然型アミノ酸 |
研究概要 |
側鎖にアセタール構造を有する環状ジ置換アミノ酸とその含有ペプチドの合成ならびにペプチドコンフォメーション解析、ジ置換アミノ酸とL-/D-Argにからなるペプチドの膜透過性評価、三次元培養されたがんスフェロイドを用いたタンパク質デリバリー評価を行った。 側鎖にアセタール構造を有する環状ジ置換アミノ酸:側鎖にキラルアセタール構造を有する環状ジ置換アミノ酸を合成した。本手法により様々なアセタール構造をもつアミノ酸の合成が可能であった。またそのホモペプチドの溶液中でのコンフォメーション解析を行ったところ、ヘリックス構造をとっていることが明らかとなった。右巻きのヘリックス構造を優先してとっていたが、完全なヘリックスの方向性の制御は達成されなかった。 L-/D-Argペプチド:Argのもつ膜透過機能とジ置換アミノ酸Aibのもつヘリックス形成能を兼ね備えたペプチドを設計し、その二次構造解析ならびに膜透過機能を評価した。安定なヘリックス構造を形成させ、Argを一方向に配置させたペプチドが最も高い膜透過性を示した。 がんスフェロイドを用いた評価:in vitroとin vivoの長所を兼ね備えたがんスフェロイドを用いたタンパク質デリバリーの評価を行った、共焦点顕微鏡を駆使することで、デリバリーシステムによって組織浸透性が異なることが明らかになった。本方法は、膜透過性ペプチドを評価する上でも非常に有用であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、平成25年度には「新規ジ置換アミノ酸の設計とその含有ペプチドの合成」および「ペプチド二次構造解析」を行う予定であった。予定通り、側鎖にアセタール構造を有すジ置換アミノ酸を合成し、そのホモペプチドの二次構造解析を達成することができた。一方、L/D-Argを含有するペプチドの合成ならびに二次構造解析を行い、前倒しする形でその膜透過性評価を行った。さらに、今後の膜透過性ペプチドの機能評価において有用な情報を与えるがんスフェロイドのシステムも確立したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、カチオン性の非天然型アミノ酸の合成にとりかかっており、ペプチドへ導入して膜透過機能の評価を行う。また平成25年度にヘリックス構造の有用性を明らかにしたが、ヘリックス構造もいくつかのタイプに分けられており、その精密な作り分けを行って、更なる機能改善へとつなげる。また、がんスフェロイドを用いた膜透過機能の評価を行うとともに、タンパク質や遺伝子などの物質を細胞内へデリバリーする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究計画の初年度ということもあり、当初予定したよりも学会への参加(研究発表)の回数が少なくなった。また研究が予想を上回るペースで順調に進んだため、失敗も含めた試薬等の経費を計上していたので、次年度使用額が生じた。 実験が細胞実験へと移行するために試薬が高額化することが予想される。物品費と併せて、積極的な学会への参加を予定していることから、旅費へと研究費を費やす。
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