本研究ではMLL白血病治療に有効なDOT1L阻害剤の探索を目的としている。MLL融合蛋白質との結合阻害剤とDOT1Lの酵素活性阻害剤の2方面からアプローチしていたが、前者の設計上の問題と後者の普遍的有用性により、H27年度からは後者により注力して研究を進めている。その結果、環状ペプチドから成る新規DOT1L阻害剤DOT1Li_#2を同定し、細胞株におけるDOT1L活性阻害効果を確認した。しかし更なる検討評価のためには水溶性の改善が不可欠と判断したことから、H28年度は水溶性向上を目的として、DOT1Li_#2を基本骨格とした12種類の改変体を作製し、細胞株における評価を行った。 その結果、1種類において水溶性の改善が認められたが、その阻害活性はDOT1Li_#2に比べて低下していた。その他11種類は水溶性が改善されなかったが、うち2種類において、DOT1Li_#2に比べて阻害活性が向上していた。さらにこの阻害活性はMLL融合白血病由来細胞株においてのみ認められ、その特異性が確認された。従って、これら2種類におけるin vivo応用に向けたさらなる改変が今後の課題であると考えられた。
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