高度に進化を遂げた多剤耐性菌のモデルとしてAcinetobacter baumannii(Ab)に注目し、国内医療機関から収集した株のゲノム解析を行った。大規模な比較解析の結果、Ab流行株ST2株に特異的に存在するDNA領域にVI型分泌機構(T6SS)依存的に分泌する抗菌エフェクターTseXとその抗菌活性を阻害する免疫タンパク質TsiXをコードする遺伝子対を発見した。SNPを用いた系統樹解析から、ST2株は複数のcladeに細分類可能で、tseXとtsiX遺伝子のオペロンがコードされたDNA領域はclade毎で多様性があり、個々のエフェクターは異なる抗菌活性を有していることが明らかとなった。
|