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2013 年度 実績報告書

分泌膜小胞エクソソームの生理機能と標的細胞の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25713020
研究種目

若手研究(A)

研究機関大阪大学

研究代表者

華山 力成  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (40403191)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードエクソソーム / 開口放出
研究概要

私達の体の中では、約60兆もの細胞が互いに連絡を取り合い、情報を交換し合うことにより生命活動を支えている。これまで様々な細胞間情報伝達機構が研究されているが、近年、免疫細胞や脂肪細胞など多くの細胞がエクソソームと呼ばれる直径30-100nmの小型膜小胞を放出することにより、離れた細胞まで情報を伝達する機構が注目されている。私達はエクソソームの放出を制御する候補分子を同定した。エクソソームは多胞体と呼ばれる細胞内小胞の中で産生され、多胞体が細胞膜と融合することにより細胞外へと放出される。同定した分子は多胞体と細胞膜に局在し、細胞質側に複数のC2ドメインを持つ。私達はこの同定が最初のC2ドメインを介してカルシウム依存的に互いの膜リン脂質と結合することにより多胞体と細胞膜の融合を促進することを見出した。実際、shRNAによりこの分子をノックダウンしたNIH3T3細胞では、コントロール細胞に比べ細胞外に放出されるエクソソームの量が顕著に減少しており、放出されずに多胞体内に留まったエクソソームが数多く認められた。そこで私達は、この分子のノックアウトマウスを作製した。このマウスから調整した骨髄由来樹状細胞は、コントロールの細胞に比べ、細胞外に放出するエクソソームの量が10分の1以下に低下することが明らかとなった。このことから、エクソソームの放出を阻害したモデルマウスの作製に成功した。更に私達は、標的細胞によるエクソソームの取り込みを阻害するモデルマウス、及びエクソソームを生体内で可視化できるモデルマウスの作製にも成功した。これらのエクソソーム解析モデルマウスを用いて、今後エクソソームの生理的意義の解明を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた通り、エクソソームの放出を阻害するモデルマウス、取り込みを阻害するモデルマウス、エクソソームを生体内で可視化するモデルマウスの作製に成功した。

今後の研究の推進方策

今回樹立したモデルマウスを用いて、免疫系におけるエクソソームの生理的意義の解明を目指す。例えば、マウス腹腔内に炎症物質(細菌や培地など)を投与すると炎症性マクロファージが浸潤し炎症物質を貪食する。貪食された異物はペプチドに分解されMHC分子と結合して細胞表面へ抗原提示されるが、一部はエクソソームに載り細胞外へと放出される。このように抗原ペプチド/MHC複合体を運ぶエクソソームが (a) T細胞に作用し獲得免疫の活性化を誘導するのか (b) 常在性マクロファージに取り込まれ抗原情報の共有化を促進するのか、更に (c) 高純度精製法で同定したエクソソームの蛋白質やRNAがこれらの機構を増強又は制御するのか等をマウスの免疫機能を解析することにより明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

エクソソームのモデルマウスを解析する為、蛍光顕微鏡一式と高感度カメラの購入を行う予定であったが、既設の顕微鏡を安価にバージョンアップするだけで、目的となる解析を行えることが最近可能となった。代わりに蛍光シグナルを定量化できるマルチモードプレートリーダーを購入し、差額金額が次年度以降へと繰り越しとなった。
当初の予定通り、マウスの維持費用と消耗品の購入に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Phosphatidylserine-dependent phagocytosis, digestion and exocytosis by macrophages.2013

    • 著者名/発表者名
      華山力成
    • 学会等名
      第86回 日本生化学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130912-20130912
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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