研究課題/領域番号 |
25713020
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
華山 力成 金沢大学, 医学系, 教授 (40403191)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エクソソーム |
研究実績の概要 |
ミクログリアによる軸索やシナプスの刈り込み(剪定)は、発生過程における神経回路網の再構築のみならず、学習や記憶などに関わる脳の可塑性と密接に関係していると考えられている。近年、軸索やシナプスの剪定に障害をもつノックアウトマウスがいくつか報告されているが、ミクログリアの刈り込み能を制御する機構は未だに不明のままである。 生体内で軸索やシナプスの剪定は神経活動依存的に生じることが知られている為、塩化カリウム刺激でPC12細胞から放出されるエクソソームの効果を検討した。すると、このエクソソームをあらかじめ取り込んだMG6細胞(ミクログリア細胞株)は、軸索剪定能が亢進することが分かった。そこで、DNAマイクロアレイを用いて、エクソソームによってMG6細胞に発現誘導された遺伝子を探索したところ、補体成分であるC3が顕著に誘導された。実際に、抗C3阻害抗体をMG6細胞に作用させると、エクソソームによる軸索剪定能の亢進を阻害した。以上の結果から、神経細胞から放出されたエクソソームが、ミクログリアに補体成分C3を発現させることによって、軸索・シナプス剪定を促進することが明らかになった。以前より、発生過程のシナプス競合において、勝者が敗者を淘汰する為に、punishment signalを放出すると考えられているが、本研究によりその実体は、神経活動依存的に放出されたエクソソームなのではないかと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞由来エクソソームの生理機能の一つとして、グリア細胞を活性化し、不要なシナプスの除去を促進することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞由来エクソソーム内にあるどのような分子が、グリア細胞の活性化を促進しているのかを明らかにする。我々は、カルシウム刺激で様々な蛋白質がエクソソーム内にリクルートされてくることを見出しており、これらの分子によるグリア細胞活性化能を評価する。また、これらの分子の多くは凝集体を形成して、神経変性疾患を引き起こすことでしられている分子であり、エクソソームによるグリアの活性化が神経変性疾患の病態発症に関与しているかを明らかにする。
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