研究課題/領域番号 |
25713024
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
財満 信宏 近畿大学, 農学部, 講師 (40455572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 質量顕微鏡法 / MALDI-IMS / MALDI-MSI / イメージング |
研究概要 |
質量顕微鏡法は、組織を直接的に二次元に質量分析することにより、組織上の代謝物の位置情報を保存したまま解析を行うことができる手法である。本手法によって、これまでは解析が不可能であった低分子代謝物などの局在解析が可能になるため、新たな病態検査法として注目されている。これまでに多くの新知見が本手法によって見出されているが、病態検査学の分野における本手法の応用の幅をさらに広げるために取り組むべき課題もある。本年度は前処理法の検討に取り組んだ。 ポジティブイオンモードで組織切片を解析した際、主にH、Na、Kの付加が観察される。付加イオンの不均一化は、感度や特異性低下のつながる。前処理によって付加イオンを統一することによって、これらの問題が解決されることが期待される。マウス脳を用いた研究によって、酢酸アンモニウムによる切片の洗浄がホスファチジルコリンの付加イオンの統一に効果的であることが報告されているが(J Lipid Res 2011)、肝臓や膵臓などの臓器ではこの手法の効果が十分ではなく汎用性に欠ける。そこで、本年度はホスファチジルコリンをモデル分子として、ホスファチジルコリンの検出に及ぼす切片洗浄条件の影響を比較検討した。その結果、2種類の条件で付加イオンの統一が観察された。この成果は現在論文として投稿中である(revise 中)。 また、本手法用いた血管疾患解析に関する総説を国際誌に投稿し、受理された(in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本手法に関する総説を執筆し、受理された。また、本年度研究成果は論文に投稿中であるため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の論文が受理された後は、新たな病理解析に取り組み、本手法の応用範囲の拡張に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の効率化を図るために500万円の装置の導入を予定していたが、採択された金額では装置を購入することができずに断念した。研究補助員を雇用することによってこれに対応したため、本来想定していた額との差が次年度使用額として生じた。 引き続き研究補助員を雇用する費用として使用する計画である。
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