平成28年度は,(1) 本研究にて開発した手術部位感染標準化感染比の算出モデルを用いた病院間パフォーマンスのフィードバックの有効性研究,(2) DPCデータを用いた抗菌薬投与状況の可視化研究,(3) de-escalationによる薬剤費節減効果の検証を行った. (1) 病院間パフォーマンスのフィードバックの有効性研究では,病院間比較が可能なベンチマーク資料のフィードバックを実施した28病院とフィードバックを実施していない31病院における2012年1月から2015年12月までの手術部位感染標準化感染比を用いて,difference-in-differenceによってフィードバックの有効性を検証した.主要消化器外科手術の全てにおいてフィードバック実施は標準化感染比の統計学的に有意な減少を認めなかった.また,本研究にて開発した手術部位感染発生比算出モデルを用いて手術実施直後に当該症例における手術部位感染発生率を予測可能なSSI Risk Engineを開発し,一般公開した. (2) 17施設から研究協力を得て,DPCデータおよびJANIS検査部門データを収集し,DPCデータからは抗菌薬使用密度を,JANISデータからは薬剤感受性率をそれぞれ可視化し,研究協力病院にフィードバックを行った.その結果,これらデータの妥当性について確認を得ることができ,研究利用できることを確認した. (3) 本研究の目的は,DPCデータおよびJANIS検査部門データ用いて抗菌薬適正使用の現状と薬剤費削減効果を評価することである.研究協力を得られた1施設における腎盂腎炎患者を対象に評価を行った.その結果,DPCデータおよびJANIS検査部門データを用いることで,抗菌薬のde-escalationの評価可能性およびそれによる薬剤費削減効果の算出可能性を確認した.
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