研究課題
ミトコンドリアDNAはバクテリアDNAやウイルスDNAと同様の特徴である非メチル化CpGモチーフを有する。私たちはオートファジー性分解を受けた後のミトコンドリアDNAが心筋細胞に蓄積し、自然免疫に関わるToll様受容体であるTLR9を介してサイトカイン産生や炎症細胞浸潤を惹起し、心筋炎症ならびに心不全発症を来すことを報告した。本研究ではこの知見に着目し、ミトコンドリア分解に関わる分子機構について、心不全治療新規創薬分子標的としての可能性について検討を行った。まずミトコンドリアDNA分解に関わる酵素であるDNaseIIを分子標的とした心不全治療効果の検討を行うために、心筋特異的DNaseII過剰発現トランスジェニックマウスを作成した。本マウスではDNaseII-HAが心筋特異的に過剰発現しており、SREDアッセイにおけるDNaseII活性上昇が確認された。また本遺伝子改変マウスの定常状態における心機能を心臓超音波法などで生理学的表現型を評価したところ、対照群と比し有意な変化を認めなかった。しかしながら、心不全モデル病態においては有意な心不全進行の抑制を認めた。さらにミトコンドリア分解機構に関わる新規分子機構の解明を行った。酵母において発見されたミトコンドリア特異的オートファジーであるマイトファジー必須分子であるAtg32は、哺乳類細胞における機能的ホモログが発見されていなかった。私たちはBCL2関連蛋白質であるBCL2L13が、ミトコンドリアの分裂を誘導すると共に、ミトコンドリア外膜上でマイトファジーレセプターとして機能することを明らかにした。BCL2L13はAtg32欠損酵母においてマイトファジーを回復することから、Atg32の機能的ホモログであることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: 6 ページ: 7527
10.1038/ncomms8527