研究課題/領域番号 |
25713032
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
早川 清雄 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00368292)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自然免疫 / インフルエンザウイルス |
研究概要 |
これまでに細胞内での核酸認識・自然免疫応答に関わる研究の中で、RIG-Iの活性化をポジティブに調節する新規調節因子「ZAPS:Zinc finger Antiviral Protein 1, Short isoform」を見出した。本研究では、これまでの結果を基盤としてZAPSを中心としたインフルエンザウイルスに対する抗ウイルスメカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めている。 HEK293T細胞にZAPSとインフルエンザウイルス由来NS1を過剰発現させた後、RIG-Iのリガンドである3pRNAやインフルエンザウイルスRNA(flu vRNA)をリポフェクション法によって細胞内へ導入し、インターフェロンやサイトカインのmRNA発現量をqRT-PCRを用いて解析した。さらに、IFN-β のpromoter 領域を含む p-125 LucまたはNF-kBの結合配列でdriveするルシフェラーゼアッセイを用いて転写因子の活性化について検討を行った。その結果、インフルエンザウイルス由来NS1によってインターフェロンやサイトカイン等の発現誘導が有意に抑制される状況において、ZAPSを過剰発現させた場合、その抑制効果が阻害されることがわかった。さらに免疫沈降法とウェスタンブロット法を用いた解析結果から、RIG-Iに対するNS1とZAPSの会合が競合的であることがわかってきた。現在、上記の結果に基づき、HeLa細胞に異なる蛍光タグをつけたZAPS,NS1の発現ベクターをトランスフェクションし、RIG-Iに対する局在の変化について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ZAPSを中心としたインフルエンザウイルスに対する抗ウイルスメカニズムを明らかにすることを目的として実験を進めている。 これまでに、実験に必要な発現ベクター等を全て作製し、HEK293T細胞に発現させて機能解析(qRT-PCRまたはルシフェラーゼアッセイ)を行い、予想された結果が得られている。また、会合性を検討する実験系も確立し、RIG-Iに対するZAPSとNS1の関係性が明らかになりつつある。さらに、平成26年度に計画している分子の局在変化に関する解析もスタートさせている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、研究計画書に沿った形で実験を進める中で、予想された結果が得られつつある。今後も当初通り、実験計画を遂行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書に記載した通り、化学発光検出装置 LAS-4000 mini の購入を検討していたが、予定していた予算以上の金額のため、次年度の研究費と合わせた形で購入することを検討した。 平成25年度3月に研究室を異動したため、平成26年度4月より最新の化学発光検出装置や倒立型蛍光顕微鏡を使用することができる環境となった。しかしながら、異動先の研究室では、本研究課題の遂行に必須な「発光マイクロプレートリーダー」がないため購入を検討している。
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