研究課題
①糖尿病に伴う糖・脂質代謝異常が低酸素による近位尿細管障害に及ぼす影響を検討した。高糖濃度かつ高脂肪酸条件の培養近位尿細管細胞に対する低酸素刺激は、低酸素で抑制されるべきmTORC1を過剰に活性化し細胞死を誘導した。これらはmTORC1抑制により改善された。MicroRNAマイクロアレイに着目した検討から、糖・脂質代謝異常が低酸素ストレス応答を破綻させ近位尿細管細胞死を誘導すること、その制御機構の一つとしてmTORC1/miR148b-3p/TNFR2経路を明らかとした。②細胞内蛋白O-GlcNAc修飾は種々の臓器において多彩な機能制御に関わるが、腎での生理的役割は不明である。本研究ではポドサイトならびに近位尿細管細胞におけるO-GlcNAc修飾の生理的役割を検討した。結果、O-GlcNAc修飾はポドサイトにおける生後の成熟、機能維持に不可欠であることが明らかとなった。また尿細管細胞においては、本蛋白翻訳後修飾は細胞内のATP合成に不可欠な蛋白であり、その欠損により尿細管細胞内のATP減少、その後の機能不全、細胞死が引き起こされることが明らかとなった。③糖尿病における血管内皮障害とポドサイトオートファジー不全との関連を遺伝子改変マウスを用いて検討した。マウスに対するノイラミニダーゼ投与は糸球体血管内皮におけるグリコカリックスの消失により蛋白尿が生じる。興味深いことに、ポドサイト特異的オートファジー欠損マウスに対するノイラミニダーゼ投与は野生型マウスに比し顕著なポドサイト障害ならびに、蛋白尿を増加を呈した。このことから、ポドサイトオートファジーは血管内皮障害に対する保護的役割を果たしていることが示唆された。④近位尿細管細胞における飽和脂肪酸による細胞毒性は飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に変換するSCD1の過剰発現によって改善し得ることが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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