髄鞘は跳躍伝導と神経保護の二つの観点から中枢神経系において必要不可欠の構造物である。その重要性は多発性硬化症に代表される脱髄疾患の病状からも明らかであるが、昨今はアルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなどの神経変性疾患、統合失調症や鬱病などの精神神経疾患、或いは脊髄損傷などの外傷においても、神経細胞のみならず髄鞘の障害がその病態に深く関与している。 本研究ではこれら病態において今後髄鞘再生医療のなし得る役割について検討を行い、単に髄鞘再生を誘導するのではなく、髄鞘生合成を維持する髄鞘脂質供給系を維持すること、特にアストロサイトのケトン体生合成が重要であろうと推定された。
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