研究課題
慢性の皮膚粘膜カンジダ感染(CMC)を呈しSTAT1正常の患者を対象にエクソーム配列解析を行い、常染色体劣性遺伝を呈するRORγT機能欠損症(RORγT欠損症)を発見した。さらにRORγT欠損症の患者が、カンジダに易感染性を呈するのみならず、抗酸菌による重症感染症を発症することを明らかとした。患者では、Th17分化障害に基づくIL-17産生障害を認め、CMC発症原因となっていた。患者T細胞は、抗酸菌感染で誘導されるIFN-γの産生能が障害されており、抗原特異的なIFN-γ産生障害が抗酸菌に対する易感染性の背景に存在することが明らかとなった。一連の研究成果は高く評価され、Science誌に掲載された(Okada S, et al. Science 349: 606-13, 2015)。RORγT欠損症の機能解析と並行し、STAT1変異により発症する原発性免疫不全症の分子基盤の解明を行った。STAT1機能喪失型変異(LOF変異)は、メンデル遺伝性マイコバクテリア易感染症(MSMD)を発症し、STAT1機能獲得型変異(GOF変異)は、慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCD)を引き起こす。STAT1のcoiled-coidドメイン(CCD)、DNA結合ドメイン(DBD)にはGOF変異、LOF変異が混在しており、患者で認めた変異の病的意義の検証には機能解析が必須であった。そこでSTAT1のCCD、DBDに存在するアミノ酸を網羅的にアラニンに置換し、網羅的に機能解析をすることで、STAT1変異ライブラリーを作製した。作製した変異ライブラリーにより、既知のGOF変異、LOF変異で評価したところ、GOF変異の75%、LOF変異の100%が適切に評価された。そのため、STAT1変異ライブラリーの作製が、患者で同定される未知の変異の質的評価に有用と判断した。一連の研究成果は、現在投稿作業中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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