「脳内セロトニンが減るとうつ病になり、脳内セロトニンが増加すればうつ病は改善する」という「うつ病のセロトニン仮説」は一般に広く信じられている。しかし、この仮説は1950年代から存在しているにも関わらず、セロトニンとうつ病もしくはうつ様症状を直接的に結び付ける決定的証拠はいまだに存在しない。本研究は近年発展著しい光遺伝学を用いてこの仮説の検証に取り組んだ。セロトニン神経活動を光照射のON/OFFで操作できる遺伝子改変マウスを用いて脳内セロトニン遊離量を一過性に増加させたところ、マウスのうつ様行動が減少した。しかし、逆に脳内セロトニン遊離量を低下させても、マウスのうつ様行動は増加しなかった。
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