研究課題
膵癌は、早期から浸潤、転移を生じ、その多くが放射線照射や化学療法に抵抗性であり、非常に予後不良な悪性腫瘍である。血液腫瘍において癌幹細胞の存在の可能性が示され、近年では乳癌や膵癌などの固形腫瘍でも同様に癌幹細胞の存在が示唆され注目を集めている。オートファジーは、細胞内の代謝に不可欠なシステムであるが、発癌から転移、浸潤、化学療法抵抗性まで癌の様々な局面に重要な役割を果たしていることが明らかになった。近年、血液幹細胞の維持にオートファジーの関与が初めて報告され、幹細胞の静止期維持機構に関与している可能性が示唆されたが、固形癌幹細胞静止期維持機構とオートファジーに関する報告は皆無である。昨年度は、膵癌切除標本からセルソーターを用いてオルガノイドを作成し、3次元培養でオルガノイドが作成されることから、幹細胞の性質をもった細胞が含有されることが考えられた。Cell cycle assayを用いて細胞周期の評価を確立するとともに、オートファジーの評価を電子顕微鏡,蛍光免疫化学染色,ウェスタンブロットなどで継続した。本研究の過程において膵癌の悪性化に関与する間質細胞である膵星細胞におけるオートファジーを確認したところ膵星細胞がオートファジーにより活性化を生じることを世界で初めて同定した。さらに星細胞のオートファジーを抑制することで星細胞が休眠化し、その結果がん細胞の転移、増殖が抑制されることを同定した。本成果は予想外、予想以上のものであり2017年gastroenterology誌に報告した(in press)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Gastroenterology
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10.1053/j.gastro.2017.01.010