研究課題/領域番号 |
25713051
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 助教 (10643330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数値流体力学 / 脳動脈瘤 / 脳血管障害学 / 脳神経外科学 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、数値流体力学的解析結果と、術中に採取した動脈瘤壁の組織学的所見を含めた大規模脳動脈瘤データベースを構築し、これにデータマイニング手法を適用し、脳動脈瘤壁の性状や破裂リスクを算定することである。平成26年度は、動脈瘤のデータベース登録がすすみ、251例を登録することができた。年100例程度を予定していたが、平成25年度の143症例と合わせて394例と、想定された以上に計画が進展している。本年はその中から脳底動脈瘤などの特徴的なパターンを示す動脈瘤を抽出し、血行力学的に詳細な検討を継続している。また、血流解析手法の改善をはかり、基礎的な検討を行いながら、新規の解析手法の探索を継続している。データマイニングの適用については、ソフトウェアの準備と手法の検討を行っている段階であり、来年度に実際にデータマイニングの手法を適用し、大規模に動脈瘤壁正常や破裂リスクと血行力学的パラメータとの関連を検討することになる。 データマイニングを適用した大規模解析が終了していないため、流体解析結果を客観的かつリアルタイムに提示する独自の外来システムの構築も未だ行える段階にないが、それに必要になるシステム、それに適した形のデータ準備の手法を検討した。本プロジェクトによる流体解析結果と外来システムから、個別の破裂リスクに基づいた手術適応の選択が可能になり、無用な治療行為の減少と多大な医療費削減が期待され、患者の不安、生活の質の悪化も回避し得る可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
年100例程度を予定していたが、2年で394例と計画以上の研究進捗状況である。それとともに、元データ処理の方法、患者固有の拍動血流データ取得手法の改善など、基礎的技術の改善にも着手しており、解析の質の向上も得られつつある。 外来システム構築については、データベース登録は順調に進んでいるものの、情報探索が未解決であるため次年度以降に行う方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を上回るペースでデータ登録が進んでいるため、データ登録を継続するとともに、集積したデータに情報探索手法を適用して、複数の知見を得ることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
スタッフの技術習熟もあり、人材雇用を減らして人件費が低減できたこと、データストレージに余裕があり十分に保存できたため、データ受け渡し用のメディアなどの消耗品にかかる支出が少なく抑えられたことなどから、基金分に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表関連の資金が予定よりも高額になっているため、そちらに充填する。 また、より精度の高い解析を目的に、新たな解析ソフトウェアの導入にあてることを検討している。
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