研究課題
In vitroでは、Runx1の標的分子群の網羅的検索を行い、Runx1ファミリー分子や軟骨分化制御因子との新規な相互関係と相互作用を明らかにした。さらに、Runx1の肥大分化制御機構のメカニズムを解析するために、下流の分子を探索したところ、肥大分化マスターレギュレーター分子との直接的関係が示唆された。今後はこの現象の本質を見極めることが不可欠であることから、Runx1とその他のRunx1ファミリー、軟骨肥大化関連分子との関係性を調べる、複数のプロモーター解析やloss of functionの実験を追加で実施する必要が生じた。In vivoでは、関節軟骨最表層のドライバーである、Prg4-GFP-CreERT2マウスとRunx1floxマウスを掛け合わせ、Prg4CreERt2;Runx1flox/floxマウスを作出した。骨格の成長後7週齢でタモキシフェンを投与することで、関節軟骨最表層Runx1ノックアウトマウスができ、8週齢で変形性膝関節症(OA)モデルを作成し、モデル作成8週後(16週齢)で組織学的解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
Runx1関節軟骨最表層モデルマウスを作出し、Runx1の標的分子の機能解析を行い、研究成果を取りまとめる予定であったが、Runx1の標的分子群の網羅的解析の結果、Runx1ファミリー分子や軟骨分化制御因子との新規な相互作用を見出したため、複数のプロモーター解析やRunx1の下流分子の依存性を検討するために、現在、軟骨肥大化関連分子のloss-of-functionの細胞株の樹立をおこなっている。これらの追加実験のため、事業の延長が必要となり、事業延長を申し出た。
Runx1だけでなく、Runx2、Runx3の軟骨分化制御機構を調べるために、gain/loss-of-functionの細胞株をそれぞれ樹立し、DNAマイクロアレイを行い、網羅的に下流の分子を探索し、Runxファミリーの軟骨分化のメカニズムを明らかにする予定である。さらに、Runx1が関節軟骨最表層に保護的に働くことが確証されれば、Runx1とその下流の軟骨肥大化抑制分子mRNAをOAモデルマウスの膝関節内に投与することによってOA に対する治療効果をin vivo で検討する。その際、研究協力者の有するミセル担体技術(ドラックデリバリーシステム:DDS)を導入する。
平成26年12月、当初の予想に反し、Runx1が関節軟骨層だけでなく変形性関節症発症のきっかけとなる関節軟骨最表層に発現し、そこにおける保護作用が重要な働きをしていることが明らかとなった。関節軟骨最表層部位特異的Creマウスを入手できることが可能となり、変形性関節症の発症のメカニズムとRunx1の関連をより詳細に検討する必要が生じた。
関節軟骨最表層特異的Creマウスの購入と、その交配と飼育維持、組織学的解析に使用する予定である。
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