研究課題
近年脊髄損傷に対してiPS細胞や神経幹細胞などの様々な細胞移植治療の有効性が報告されているが、これらの対象は全て損傷後間もない時期を対象とした急性期治療であり、真に治療法開発が渇望されている慢性期での有効性は殆ど確認されていない。また、急性期治療の対象も、損傷が軽度の不全麻痺に限ったものであり、重篤なADL障害を永続的に残すような重度麻痺に対して有効性が確認された報告は皆無である。我々は、慢性期移植で効果がない原因は、移植細胞の生着や分化にあるのではなく、生着した環境の不応性が原因であることを明らかにした。さらに、急性期移植であっても重度損傷の場合は移植効果が殆ど無いことを明らかにした。この原因を明らかにするためにホストニューロンの選択的なablation実験を行い、移植細胞が効果を発揮するためにはホストニューロンと生着細胞での双方向のシナプス形成が重要であることを見出した。また、慢性期環境であっても、生着細胞からの神経栄養因子分泌活性は高いレベルを維持しており、さらにニューロン分化に対しても許容的であることを確認した。また、2段階の神経幹細胞移植実験により、移植細胞同士のシナプス形成を確認した。これらの知見を併せると、たとえ慢性期環境であっても複数回の細胞移植によりニューロンの補充とpropriospinal circuitの再構築が可能であるものと考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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