研究課題
本年度の主な成果は,(1)イマージョンを含まないグラフに対する彩色アルゴリズムと(2)指定された頂点を通る奇数長歩道を詰め込む問題に対するErdos-Posa性の解析である.1.グラフの彩色問題とは隣り合う頂点が異なる色を持つように頂点を塗る問題であり,グラフ理論における基本的な問題である.彩色問題に関する有名な結果として,グラフが平面的ならば4色で彩色できること(4色定理)が知られている.4色定理の一般化であるHadwiger予想は,k頂点のクリークK_kをマイナーとして含まないグラフは(k-1)色で彩色できるという予想であり,グラフ理論における重要な未解決問題のひとつである.本研究では,マイナーと似た概念であるイマージョンという関係を考え,イマージョンを含まないグラフを効率的に彩色するアルゴリズムを提案した.具体的には,任意のグラフH(最大次数d)に対して,Hをイマージョンとして含まないグラフが(d-1)色で彩色できるかを多項式時間で判定できることを示した.この成果は,これまでの本研究課題の成果であるイマージョンの詰込み問題に対する解析を利用することで得られた.2.本研究計画の主な課題のひとつに,グラフの詰込み問題に対するErdos-Posa性の解析がある.本年度は,指定された頂点を含む奇数オイラー部分グラフを,互いに辺を共有しないように詰め込む問題に対してErdos-Posa性の解析を行なった.具体的には,Erdos-Posa性が一般のグラフでは成り立たないこと,そして,グラフを4辺連結グラフにかぎればErdos-Posa性が成立することを示した.さらに,その証明をもとに,4辺連結グラフにおいて,指定された頂点を含む奇数オイラー部分グラフをk個辺素に見つけられるかを判定する問題に対して,固定パラメータアルゴリズムを提案した.
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Algorithmica
巻: 掲載確定 ページ: 印刷中
10.1007/s00453-016-0229-5
SIAM Journal on Discrete Mathematics
Journal of Combinatorial Theory, Series B
巻: 121 ページ: 284-307
10.1016/j.jctb.2016.07.005