研究課題/領域番号 |
25730006
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神山 直之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (10548134)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 安定マッチング問題 / 離散最適化 / 離散アルゴリズム |
研究概要 |
本年度は,研究計画の中で挙げた先進的安定マッチング問題である,下限付き安定マッチング問題,パレート安定マッチング問題,最適選好マッチング問題に関する成果を得ることが出来た.まず,近年現実的な応用の観点からその重要性が高まっている下限付き安定マッチング問題に対しては,Monte and Tummenasan によって提案されたプロジェクト閉鎖付き順次独裁メカニズムの拡張に成功した.具体的には,既存のメカニズムがさらに抽象的なマッチング市場への拡張可能であることを示した.この抽象的なマッチング市場は広い範囲のマッチング市場を表現可能であり,広範囲のマッチング市場に対して,効率性と戦略的操作不可能性を満たすメカニズムを構築することに成功した.この結果に関しては論文誌に採録され,国内学会における発表を行った.また,選好に同順を含むマッチング市場におけるパレート安定マッチング問題に関しては,これまで提案されていたアルゴリズムとは異なったアプローチで高速なアルゴリズムを提案することに成功した.具体的には,既存のアルゴリズムで使用されていた特徴付けを用いず,他のマッチング問題との関係性に注目することにより新たなアルゴリズムを提案することに成功した.この結果に関しては論文誌に採録され,国際学会における発表を行った.また,解の安定性を所謂多数決によって決定する最適選好マッチング問題に対しては,これまでの結果を含む,マトロイドを用いた抽象的な問題に対するアルゴリズムを構築することに成功した.これの成果に関しては現段階ではプレプリントの形で公開することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で挙げた先進的安定マッチング問題のうち,3つの問題に対して成果を得ることができたため.さらに,それらの成果は離散最適化における抽象的な概念・アイデアを中心として得られたものであり,本研究課題の目標である,離散構造を中心とする視点から安定マッチング問題に対する理論を押し進めるという目標に合致していると言えるからである.
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今後の研究の推進方策 |
まず第一の課題としては,最適選好マッチング問題に対して得られた結果を論文誌等に公開するということが挙げられる.また,研究計画で挙げた極大階数マッチング問題に対する研究を進めることが課題として挙げられる.この問題に関しては離散最適化において重要な役割を果たすマトロイドとの関係性が問題解決の糸口となると考えており,その観点から研究を進める.上記の二つの課題に加え,本年度はさらに深い離散最適化の理論を用いた安定マッチング問題に対するアプローチとゲーム理論的なアプローチの融合を探求する計画である.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は研究計画の1年度目であり,本年度までの2カ年による研究計画であるため. 昨年度同様,研究計画で挙げた先進的安定マッチング問題の離散構造の解明のための研究に使用する.特に得られた成果の国外,国内での発表および,他の研究者からの情報収集を主な目的とする.
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