研究概要 |
平成25年度は,抗がん剤第I相試験における2剤併用療法のための用量探索法として,縮小ロジスティックモデルを用いた方法を開発し,既存の用量探索法(Yin and Yuan, 2009, Journal of the Royal Statistical Society, Series C, 58:211-224; Wages et al., 2011, Clinical Trials, 8:380-389)との性能比較を実施した. 提案法は,3パラメータロジスティックモデルに縮小係数(0~1の値をとる係数)を乗じたモデルであり,Copas の縮小推定法(Copas, 1983, Journal of the Royal Statistical Society, Series B, 45:311-354)を応用することで推定することができる.当該縮小ロジスティックモデルに基づく用量探索法は,試験初期に高用量を探索することで,過剰毒性用量を学習し,試験後期ではその用量を回避して用量探索を実施する.このため,最大耐量(maximum tolerated dose; MTD)の同定精度も向上し,既存法よりも優れた性能を有する.シミュレーション実験により既存の2方法と比較した結果,提案法はこれらの方法よりもMTD同定割合が12%高く,さらに過剰毒性選択割合を25%低くすることができた.今後は,他の方法も含めて提案法の性能を検証していく予定である.
|