研究課題/領域番号 |
25730024
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
尾崎 幸謙 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50574612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 統計学 / 心理検査 / 社会調査 / 因子分析 / 構造方程式モデリング / 欠測データ |
研究概要 |
平成25年度は,平成26年度に実施予定の調査仕様を決定するためのシミュレーション研究を行った。社会科学(主として心理学を対象と考えている)の研究では,外向性などの構成概念を測定するために多くの項目を含む質問紙調査を実施することが一般的である。しかし,多くの項目を含んでいることで回答者に負担が生じたり,回収率が低下することが懸念される。そこで,構成概念を測定するための項目数を少なくして,上記の問題を回避することがしばしば行われる。このような質問紙を短縮版と呼ぶ。ところが,短縮版の欠点は項目数を減らしたことでデータを得ることができない項目が発生するために,構成概念の測定が不正確になる可能性があることである。 本研究では,個々人の調査対象者にとっては短縮版程度の項目数で済みつつも,構成概念の測定をより正確に行うための調査方法を提案し,その精度を確認することである。新たな調査方法として提案するのは,分冊型調査と呼ばれるものである。これは,例えば3種類の調査票を用意して,調査対象者にそのうちのいずれかをランダムに割り当てる方法である。3種類の各調査票の項目数は短縮版と同程度である。任意の項目は3種類のうちの最低1つには含まれているため,構成概念の方向性が損なわれずに測定を実施できると考えられる。 平成25年度は,様々な形式の分冊方式,構成概念の数,項目数,標本サイズでシミュレーション研究を行い,構成概念間相関の観点からそれらの精度を調べた。その際,構成概念の測定は構造方程式モデリングの枠組みにおける確認的因子分析で行い,分冊を行うために生じる欠測はMCARを仮定して多母集団解析によって処理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション研究が進み,分冊型調査の性質が明らかになりつつあるため。平成26年度に実施する調査票の内容については検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,原版・短縮版・分冊版の3種類の調査を行う。その結果に基づき,平成26年度から平成27年度にかけて,3種類の比較をシミュレーションではなく実際のデータ解析から行う。また,数値データによる考察だけではなく,実施上の問題点についても検討する。
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