研究課題/領域番号 |
25730033
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
鬼頭 信貴 中京大学, 工学部, 講師 (90630997)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 算術演算回路 / 高信頼 / オンライン誤り検出 / LSIのテスト |
研究概要 |
本研究は、ディジタル集積回路の中心機能である算術演算を実現する算術演算回路を高信頼とするため、演算結果の誤りをオンラインで検出(オンライン誤り検出)できるだけでなく、出荷後に生じる永久故障の検出のためオンラインで少ないパターンで演算回路全体をテストできる、セルフテストも容易な算術演算回路の開発を目的とする。今年度は、以下の点を実施した。 1. 加算回路はVLSIを構成する重要なコンポーネント回路である。加算回路の方式はさまざまあるが、構成の柔軟性からプレフィックス加算回路が広く用いられている。このプレフィックス加算回路について、加算器の構造・性質に注目することで従来の構成法よりも小さな回路面積でオンライン誤り検出可能な新たな構成法を論文として発表した。この加算回路を用いることで、信頼性の高いVLSIをより低いコストで実現できる。 2. 科学技術計算では浮動小数点演算がよく用いられる。大規模なシミュレーションなどの計算では多くの浮動小数点演算回路を長時間使用することになるため、オンライン誤り検出は重要である。今年度は、オンライン誤り検出可能な新たな浮動小数点演算回路を開発した。この演算回路では、演算途中と最終出力の2段階で演算の正しさをチェックする。新たな演算回路では、従来の剰余符号のみを用いる手法では検出が難しかった演算回路の内部の丸め演算に起因する誤りなどが検出可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン誤り検出可能な加算回路について新たな構成法をまとめることができた。浮動小数点演算回路におけるオンライン誤り検出についても研究が進展し、新たな演算回路を開発できた。
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今後の研究の推進方策 |
オンライン誤り検出可能な演算回路については新たな手法の開発が進んだため、今後回路面積や故障検出率等の評価を進め、成果をまとめることを目指す。一方で、動作中に回路に故障が無いことをテストできる(セルフテストできる)演算回路の開発についてはやや遅れている。加算回路に注目し、対象とする回路方式やテストパターンの設計についての検討を行い、新たな回路の開発を目指す。
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