研究実績の概要 |
FPGA上にPhysically Unclonable Function (物理複製困難関数, PUF)とFuzzy Extractorの回路を実装し、安全性の高い動的再構成システムの構築に関して検討した。 FPGAは回路構成データをデバイスに書き込むことで回路を変更できるLSIである.特に,FPGAの動作を止めることなく特定領域のみを動的に書き換える「動的再構成」技術は,多様化・高品質化するサービスやコンテンツを高速に処理し,高い信頼性で利用するために極めて有用である.しかし,FPGAの回路構成データは,常に盗聴・改ざん等の危険に曝されている.このような問題に対しては、回路構成情報を暗号化する方法が有効である。しかし、先進的なサイドチャネル攻撃等によって,暗号鍵を特定できることが分かっている. このような先進的攻撃の下でも,安全な回路構築を実現できると期待される技術がPUFである.PUFはデバイスのばらつきを利用して複製困難なチップ固有IDを生成することができる.ただし、PUFの出力は不安定であるため、誤りの含まれる出力から暗号鍵を生成するためのFuzzy Extractorと呼ばれる仕組みが必須である。 本研究では、PUFとFuzzy Extractorをハードウェア実装し、安全に動的再構成システムを構築する方法について検討した。今回、誤り訂正符号としてReed-Solomon (RS)符号を使用し、RS符号の1シンボルは6ビット、符号語長は36シンボル、情報長は22シンボルとしてFuzzy Extractorを構築した。RS符号化器および復号器の回路開発には、Matlab HDL Coderによる高位合成を利用した。これら回路の速度や規模と性能を評価し、PUFベースの動的再構成システムの有効性について検討した。
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