レビュー結果を利用したアシュアランスケースの効率的な構築保守手法の開発をするにあたり、以下を達成した。 (1) レビュー記録からアシュアランスケースに必要な情報を抽出する手法として、トピックモデリングや形式概念分析などデータマイニング分野の技術を応用した手続きをいくつか提案した。また、提案手法を評価するにあたり、現在産業界でも用いられているアシュアランスケースの構造的な表現方法の一つであるGSNで記述されたアシュアランスケースの品質指標をいくつか提案した。さらに、それら抽出した情報からアシュアランスケースを構築するために、議論学で用いられるCarneadesモデルを応用したGSN記述手続きを提案した。以上の提案手続きや品質指標などを用いて評価実験を実施し、従来手法との比較や提案手法のバリエーション間の比較などを実施し、提案手法が効果を発揮する応用について考察した。本結果は、アシュアランスケースに関する国際ワークショップで発表した。 (2) GSNに対して、レビューに含まれる情報を記録する際に必要となる反論を記述する方法を導入し、撤回可能GSNとして提案し、ディペンダビリティに関する国際ワークショップで発表した。本提案は、上述評価実験で得られた知見をベースとしている。撤回可能GSNは、GSNの記法を大幅に変更することなく、議論学における反論や撤回可能性を表現可能であり、現在、開発ツールベンダーとともにツール化を進めている。 (3) 提案した撤回可能を用いて、今後アシュアランスケースの効率的な構築に必要になると予想される、アシュアランスケースにおける議論の合成手続きを提案し、整合的な議論が得られるための十分条件を一つ示した。本結果については国内研究会で発表している。
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