研究課題/領域番号 |
25730045
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊原 彰紀 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (40638392)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バグローカリゼーション / ソフトウェア検証 / バグ再修正 |
研究概要 |
本研究はソフトウェアの障害を引き起こした原因となる欠陥部品(欠陥を含むソースコードファイル)の自動特定を目的としている.近年複数のシステムが協調的に機能するサービスが増加し,欠陥が及ぼす障害波及範囲が拡大している.欠陥部品を正確に特定するためには,システムの幅広い知識や経験が開発者に求められるが,そのような開発者は少数である.従来,障害報告書のテキスト情報から修正すべき欠陥部品を特定する方法が提案されているが,修正すべき欠陥部品以外にも同様の単語が使用されている部品が多く,予測精度が低いことが指摘されていた.この問題に対して,平成25年度は以下の内容に取り組んだ. 従来のテキスト情報のみを用いたモデルではなく,各部品の変更履歴から最近変更された部品を優先的に欠陥部品として推薦するモデルを構築した.その結果,約10%の精度向上(10部品推薦したうち正解率約43%であったのが約53%に向上)を達成した.また,co-change部品の特定も正解率約55%であったのが,約62%に向上することが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究申請時に約30%の予測精度向上を期待していたが,昨年度に提案した,部品の変更履歴を用いた欠陥部品の自動特定モデルにより,欠陥部品の予測精度10%の向上を達成すると同時に,co-change部品の予測精度の向上も達成していることから,本研究の初年度の達成度としては十分であるといえる. ただし,欠陥部品をファイル単位で推薦することを提案したが,開発者は推薦されたファイルを全て解読するコストがかかってしまうという課題が近年の研究で明らかにされてきた.次年度では,本課題を解決する手段としてメソッド単位(ファイルに含まれる機能単位)で欠陥部品を推薦するモデルを構築することによりファイル単位での予測よりも時間短縮される可能性を見出した点は,研究期間を考慮すると順調な進捗といえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に提案した,ファイル単位の欠陥部品の推薦に対して,保守効率を向上させるためにメソッド単位の推薦モデルを提案し,評価を今後行っていく予定である.ただし,粒度が細かくなるため,予測精度が低下する可能性があり,ファイルサイズ(ソースコード行数)による予測精度の違いを分析し,メソッド単位での推薦モデルが適用可能な部品を明らかにする方針である.
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額が生じた要因は,研究の進捗状況に合わせ,予選執行計画を変更したことに伴うものである.平成25年度の成果の一部を平成26年度4月に論文誌2本,国際会議1本論文を投稿しているため,次年度使用額が生じた. 平成25年度の研究成果の一部を今年度中に発表する計画をしている.
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