研究課題/領域番号 |
25730046
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山内 利宏 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (80359942)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オペレーティングシステム / 並列・分散処理 / マルチコア / 分散OS |
研究概要 |
既存OSには,OS内部の構造に統一的な設計方針がなく,マルチコアCPUやメニーコアCPUに対応する場合に,OSの機能ごとに排他が必要な部分を調査し,それぞれ異なる粒度で排他制御を実現している.また,排他を制御する部分は,OSの各機能毎に点在しており,排他によるプログラムの修正箇所は,OS内に分散して多数存在する.上記の課題を解決するため,資源の分離と独立化機構を実現し,OS内部の構造を統一的な設計方針で実現しているTenderオペレーティングシステムにおいて,マルチコアCPUに対応するための2つの排他制御方式を実現した. (方式1)資源種別単位での排他制御では,資源の種類ごとに排他制御することで,粗粒度ロックによるマルチコア対応を実現する.(方式2)資源識別子単位での排他制御では,個々の資源に与えられた識別子ごとに排他制御することで,細粒度ロックに よるマルチコア対応を実現する. これらの方式をTenderに実現し,提案方式の有用性を評価した.評価結果から,細粒度ロックを実現したTenderは,細粒度ロックを実現したFreeBSDよりも行数における排他制御量の割合を約0.12%,Linuxよりも約0.2%だけ少なくしてマルチコア対応を実現していることを示した.また,性能向上比の評価では,粗粒度ロックを実現したTenderは,操作対象とする資源の種類数以上のコア数では,性能を向上させることができず,コア数の増加に対して有用な方式でないことが分かった.一方,細粒度ロックを実現したTenderは,メモリ処理,プロセス生成処理,およびプロセス間通信処理において4コアの場合,性能向上率が約4.0倍となり,細粒度ロックを実現したLinuxやFreeBSDと同程度以上の性能であり,理想値に近い性能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,資源種別単位での排他制御を初年度に実現する予定だったが,資源種別単位での排他制御方式に加えて,資源識別子単位での排他制御についても基本方式を実現し,基本評価が行えたため.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通りに,資源識別子単位での排他制御の詳細な評価を進め,複数個のコアを1つのOSでまとめて管理し,それらのOSが1つのコンピュータ上に複数同時に存在する構成の検討を進める.
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