研究課題/領域番号 |
25730051
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネットワークプロトコル / セキュリティ / スマートグリッド / パワースケジューリング / QoPU |
研究概要 |
近年、次世代の送電網システムとしてスマートグリッドに注目が集まっている。スマートグリッドでは情報通信技術を活用し電力供給側と消費者との間で様々な情報交換を行い、効率的な電力利用を実現する。本研究では、環境にやさしい電力利用指針、消費電力を低減する通信プロトコル、安全かつ高機能な電力ルーティング技術のそれぞれを統合的に利用する効率的な電力分配システムの提案を目指している。 本年度は、まず始めにスマートグリッドとその関連技術に関する文献の包括的な見直しを行った。特にスマートグリッド実現に向けた異種ネットワーク融合のためのプロトコルについて調査し、その課題について検討を行った。さらに、異種ネットワークが混在する環境においてユーザが求める通信要求を満たすための通信モデルの開発に着手した。その第一段階として、まず、通信遅延、周波数干渉、ジッター、スループット、パケット損失、ユーザ間の公平性などについて考慮しつつQoSモデルの構築を行った。次に、構築を行ったQoSモデルについて、数値解析数値解析を用いて提案するQoSモデルがスマートグリッドにおいて利用者が要求するQoSを満たすことを保証した。さらに、シミュレータを用いて提案したQoSモデルの評価を行い、その有用性を確認した。また、評価結果から次年度以降に取り組むべき課題についても明確化し、研究開発の更なる前進を可能にするための検討に取り組んだ。また、それらの研究成果を外部へ発信するために、成果をまとめて国際学会に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、スマートグリッドとその関連技術に関する文献の包括的な見直しと、異種ネットワークが混在する環境において各ネットワークにおける通信要求を考慮した統合的なQoSモデルの構築を計画していた。これに対して、今年度の成果として、スマートグリッド実現に向けた異種ネットワーク融合のためのプロトコルについて調査し、その課題についての検討を完了した。また、QoSモデルの構築についても取り組み、提案するQoSモデルがスマートグリッドにおいて利用者が要求するQoSを満たすことを確認するなど、一定以上の成果を得た。 以上の理由から、今年度の成果は当初の予定以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、今年度からスマートグリッドにおける電力利用の問題について集中的に取り組む。特に、電力利用が集中するピーク時間の電力利用量低減に着目し、利用者の電力利用計画を最適化し利用時間の分散を行う。これによりシステム全体の消費電力の削減を実現し、環境にやさしいスマートグリッドシステムの開発を目指す。 また、提案システムの評価は主にシミュレータを用いて行うが、昨年度に比べ考慮すべきパラメータが多くシステムが複雑化することが予想されるため、シミュレーションの量が増えることは間違いない。このため、シミュレータ用の計算機リソースを増強・並列化して行う。 さらに、成果発信についても引き続き積極的に取り組み、国際学会や国際論文誌への投稿などを目指し、研究開発の成果を世界に向けて発信していく。
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