本年度(最終年度)は,高度な地域包括ケアシステムを実現する情報連携フレームワークの有効性の検証と総合評価を行うため,平成25年度と平成26年度の成果に基づき,プロトタイプシステムを用いた評価実験を行った.具体的には,以下の(1)地域包括ケアシステム向けプロトタイプシステムの設計と実装,(2)プロトタイプシステムを用いた評価実験,(3)総合評価を行った. (1)地域包括ケアシステム向けプロトタイプシステムの設計と実装では,センサ,ロボットや家電を含めたInternet of Things (IoT)デバイス,ソフトウェアが状況に応じて連携し,様々なタスクを遂行するエージェント指向スマートホームシステムの設計と実装を行った.特に,情報連携フレームワークのアーキテクチャに基づき,センサデータの収集・集約,複数のセンサデータ統合処理を行う情報管理・制御技術,知的サービス連携技術の統合によって開発を行った.また,多種多様な電子データの関連付けを自律的に行い,利用者に関連する情報を提供するための情報提供機構においては,利用者向けの情報登録をドラック・アンド・ドロップで容易に登録するインタフェースの改良,可視化インタフェースの開発によって,情報提供機構の高度化を行った. (2)評価用プロトタイプシステムを用いた実験では,プロトタイプシステムを用いて,各要素技術に関する評価実験を行った.特に,情報管理・制御技術,知的サービス連携技術の効果の検証を行った. (3)総合評価では,プロトタイプシステムを用いた評価実験結果の分析と情報連携フレームワークの定量的・定性的評価による有用性の検証,より高度な地域包括ケアシステム実現に向けた今後の課題について整理を行った.
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