研究課題/領域番号 |
25730054
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
川喜田 佑介 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30468540)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ubiquitous computing / IoT / spectrum sensing / RFID / platform |
研究概要 |
本研究では、無線信号を含む周波数帯域を量子化したデータである電波空間情報を対象とするデータ・マイニングとして、データ取得時に稼働していた無線システムを自動的に検出することを目的とする。電波空間情報チャンクの検出に関する課題として、不安定で未知となる自立給電型ワイヤレスセンサの送信周波数を広帯域から発見すること電波空間情報に含まれる無線信号を適切に判別することに、電波空間情報の記録に関する課題として、電波空間情報の蓄積利用を可能にするため高速保存を実現することに取り組んだ。 電波空間情報に信号が含まれる無線信号を検出し適切な無線システムを起動するためには、電波空間情報から無線信号を含む領域を検出すること、無線信号を含む電波空間情報を発見し、受信するのに適切な無線システムを判別することが必要となる。無線システムへの周波数帯域の割り当て情報を事前に知りえない前提条件で、帯域幅を動的変化させながら広帯域をスペクトラムセンシングし、同時に見逃し率を見積りながら高速に無線信号を含む領域を検出する技術を開発した。この成果は、IEEE PIcom2013に発表済みである。また、無線信号を含む電波空間情報から中心周波数、発振間隔、および、スペクトル幅のスペクトログラムを特徴量として無線システムを判別する手法を開発した。この手法では従来の代表的手法で判別ができなかった重畳する信号を判別することができる。この成果は、IEEE PIcom2013に発表済みである。電波空間情報の蓄積利用を可能にするため、可逆圧縮技術の効果と課題について検討した。良好な圧縮率を得るには圧縮する電波空間情報のファイルサイズに適切なサイズがあること、圧縮率は電波空間情報に含まれる信号の割合と関係することを明らかにした。この成果の一部を信学ソ大に発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解決が必要な技術課題は研究着手時点では明確でないため背景調査を基に研究課題の洗い出しを行った。システム実装を具体的に想定し、その主要な研究課題とその基礎的な検討結果については、計測制御学会学会誌に採録された。電波空間情報チャンクの検出に関して、電波空間情報サンプリング装置で量子化した電波空間情報から、帯域幅を動的変化させながら広帯域をスペクトラムセンシングし、同時に見逃し率を見積りながら高速に無線信号を含む領域を検出する技術を開発し国際会議に発表した。検出閾値の設定や探索ビンより広帯域の信号の検出に関しての課題が明確化した。次年度実施予定としていた電波空間情報チャンクのクラスタリングに関しては、ペクトログラムを特徴量として無線システムを判別する手法で一括して解決できた。電波空間情報の記録に関して、電波空間情報の蓄積利用を可能にするため、可逆圧縮技術の効果について知見を得たが、生データとメタデータを同時記録に関しては一部実現できなかった。全体としては、当初の目標より達成できた部分とできなかった部分が混在するため、おおむね順調に推移とした。
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今後の研究の推進方策 |
電波空間情報チャンクの検出に関して、スペクトラムセンシングの検出閾値の自動設定、探索ビンより広帯域の信号の検出等の課題に取り組む。電波空間情報の記録に関して、検索クエリを具体的に検討し生データとメタデータの同時記録に取り組む。電波空間情報チャンクのクラスタリングに関しては、多様な信号に対応するための特徴量定義の一般化とそれに合わせた判別器の開発に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入する物品(10GbEスイッチングハブ)の選定に時間を要したため次年度使用額が生じた。 2013年度は試用機を販売代理店より借用し対象機種の評価を行った。2014年度は物品の購入を行う。
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