研究課題
近年WSN(Wireless Sensor Network)に用いられるセンサデバイスには安価なバッテリ駆動型が多く採用されており、センサデバイスのセンシング機能に対する給電は搭載バッテリによってまかなうことができている。一方、通信インフラが整備されていない地域に設置されたセンサデバイスは、通信インフラ側まで長距離通信を行いたいが、大電力を消費する衛星通信などはバッテリ容量の制約から不可能である。この問題に対して、無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)などの自律移動ノードを利用してセンサデータを収集する方式が研究されているが、センサデータを即時的に取得することはできないという課題がある。そこで、最終年度の研究では上記課題を解決する手法として、UAV を用いたマルチホップ通信による無線バックホールシステムを提案した。本システムにはUAV の利用形態や給電方式の違いから複数のシステムモデルが検討できる。まず、それらモデル間の定性的な比較評価を行い、モデルごとの特徴を明らかにするとともに、各環境に合わせたモデルの選択が重要であることを示した。さらに、本システムはUAVを複数台用いることから、システムを実現するために必要となるUAV数がいくつであるかが重要な指標となる。本研究では、2つのシステムモデルについてシミュレーション評価を行い、モデルごとに必要なUAV数を求めるとともに、モデル間で必要なUAV数にどのような違いが表れるかを明らかにした。研究期間全体を通じて、ビッグデータ時代における多量のセンサデータ収集によって通信システムにもたらされる消費エネルギーの問題に取り組み、自然エネルギーに適応した制御によってエネルギー利用効率を向上できることを示した。研究成果を学会の大会、研究会、国際会議、論文誌で発表した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
IEICE Trans. Commun.,
巻: vol.E98-B, no.8, ページ: 1571-1579
10.1587/transcom.E98.B.1571