研究課題/領域番号 |
25730059
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
玉井 森彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (90523077)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | WiFiオフローディング / プリフェッチ / モバイルネットワーク |
研究概要 |
本研究では,3G/4Gエリアで閲覧されることが予想されるコンテンツを,WiFiエリア滞在中にあらかじめプリフェッチしておくことで,3G/4Gに集中するトラフィックをWiFi側へオフロードする方式を提案している.研究計画に従い,本年度は(1)プリフェッチすべきコンテンツの決定方式,(2)時間変化する利用可能リソース量への対応方式,(3)ユーザの行動の予測方式,(4)プリフェッチスケジューリング問題の定式化と解決アルゴリズムの考案を行った. (1)では,特にWebコンテンツについて,ルートページ(例えばニュースサイトのトップページなど)とそれ以外のページ(ルートページからリンクされているページ)とを分けて考え,ルートページを探索することで,その中からユーザの好みの単語を含むリンクを抽出し,抽出されたリンク先のページをプリフェッチする方式を考案した.(2),(3)では,特にバッテリ量をリソース制約として考慮し,プリフェッチによって過剰にバッテリが消費されることを防ぐため,ユーザの過去の行動履歴をもとにユーザがWiFiエリアへ到着する時刻および退出する時刻を予測する方式を考案した.(4)では,ユーザの行動予測モデルと利用可能バッテリ量に基づき,プリフェッチを実行するタイミングを決定する方式を考案した.また,各プリフェッチの実行時には,コンテンツの閲覧確率とデータ容量の積で定義される期待オフロード量を最大化の対象とし,バッテリ量制約のもとで合計期待オフロード量を最大化する方式を考案した. 本年度の成果については,研究会にて2件の発表を行い,うち1件については優秀発表賞(情報処理学会 Dicomo 2013)を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究の進捗は,ほぼ計画通りとなった.当初想定されていた,プリフェッチすべきコンテンツの決定,リソース制約への対処,ユーザの行動予測,プリフェッチすべきタイミングの決定のそれぞれの項目について検討を行い,シミュレーションにより提案方式の有効性を確認した.シミュレーションによる評価については,時間の不足により提案方式の適用可能範囲を詳細に調査するまでには至らなかったため,次年度において,引き続きより詳細な評価を行いたい.
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては,研究計画に従い,実機上での有効性を検証するためのシステムの設計と実装を主な研究内容とする.特に考慮すべき重要な点として,実用上,提案手法がアプリケーション層に対して透過的に動作可能なことが望ましいと考える.この透過性が実装上どの程度確保可能かについても新たな研究課題とし,計画当初の課題と合わせて研究を進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額が生じた理由は,研究の進捗状況に合わせ,予算執行計画を変更したことに伴うものである. 次年度の請求額と合わせての執行計画は以下のとおりである. 本研究に関連する資料として,書籍や論文の購入を予定している.また,研究に関連するソフトウェアの開発,実験のための器材の購入を予定している.また,国内研究会,国際会議での発表のための旅費での使用を予定している.
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