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2013 年度 実施状況報告書

太陽光発電を用いた無線センサネットワーク長期間稼働のためのノードの移動手法

研究課題

研究課題/領域番号 25730062
研究種目

若手研究(B)

研究機関大阪府立大学

研究代表者

勝間 亮  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80611409)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードセンサネットワーク / モバイルノード / エナジーハーベスティング
研究概要

無線センサネットワーク(WSN)では,各センサノードの限られたバッテリ量を均等に消費することにより長期間稼働させるバッテリ均等化手法が求められる.平成25年度はバッテリ量の不均衡が起こる農業用WSNおよび海上モニタリングWSNについて,それぞれエナジーハーベスティングを利用したノードの移動によるバッテリ均等化の手法を提案した.
海上モニタリングWSNについて,最少ノード数でWSNの半永久稼働と対象領域全体のセンシングの維持を達成するために,各ノードの自律分散計算によりセンシング/スリープのスケジューリングを行い,必要に応じてノードを移動させる手法を提案した.海流によりセンサノードが移動する様子をモデル化し,Javaによるシミュレーションを行った.これまでの成果をマルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2013)で発表した.
一方,農業用WSNについて,各ノードの現在の位置と日時,作物により生成される日陰領域からセンシングを行う各地点の発電量を予測することによって,フィールドを被覆し,かつ,ノードの電池が枯渇しないよう各ノードの移動経路を決定する手法を提案した.実機センサノードのプロトタイプを制作して移動での消費電力および太陽光発電量を測定し,その測定数値に基づき,ネットワークシミュレータScenargieを用いてシミュレーション実験を行った.実験では作物の成長モデルを実装し,農地の畝やその結果,提案手法では従来手法に比べ指定した期間においてWSN を稼働させるためのノード数を4%抑え,ネットワーク寿命を10%延長することを確認した.これまでの成果をDICOMO2013およびDPS研究会にて発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず,農業用WSNおよび海上モニタリングWSNについて,エナジーハーベスティングを用いたバッテリ均等化手法を提案した.その有効性を評価するためのシミュレーションにおいて,太陽光発電量やセンサノードの移動のための電力消費量が必要となる.そこで,農業用WSN,海上モニタリングWSNに共通して必要な太陽光発電機能について,現実にどの程度の電力を得られるかを調べるために,充電機能の実機予備実験を行った.また,提案手法でセンサノードを移動させるため,地上での移動に必要な電力の測定も行った.この2点についての詳細を以降で述べる.
充電機構のプロトタイプとして,サイズが104mm×48mmのソーラパネルから単3電池2本に対して充電を行うための最大電力点追従(MPPT)回路を制作した.これを用いて,日向と日陰の二種類の環境での太陽光発電量の測定を行った.その結果,日向では180[mW],日陰では24[mW]の発電量を平均して得られることが確認できた.また,影のでき方によって発電量が左右され,完全に影の状態になった場所ではほとんど発電量がないことも確認できた.
一方,移動にかかる消費電力の測定について,地上を走行するセンサノードとしてヴィストン社のビュートローバーを用いた.移動速度を50[cm/sec]に調整し,駆動中の電流を測定し,消費電力量を求めた.電流の測定はロボットを直進させ電流が一定になった値を計測した.その結果,ロボットを50[cm/sec]で移動させた場合の消費電力量は1680[mW]であった.
以上の結果を用いて,農業用WSNについての提案手法の有効性をシミュレーションにより評価した.その結果,提案手法では従来手法に比べ指定した期間においてWSN を稼働させるためのノード数を4%抑え,ネットワーク寿命を10%延長することを確認した.

今後の研究の推進方策

今後は研究計画通り,農業用WSNおよび海上モニタリングWSNについてのテストベッドを構築し,実機実験を行っていく.そのためは,まずシミュレーション実験を構築する必要がある.現在は農業用WSNについてはシミュレーション実験が一通り完了しているため実機の制作に入るが,まだ提案手法のシミュレーション実装に至っていない海上WSNについて,早急にシミュレーション実験のプログラミングを行っていく.
以上が完了した後には,それまでの成果をまとめ,論文誌や国際会議への投稿を予定している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ソーラパネル付モバイルセンサノードで構成されたWSNのための最適移動スケジューリング手法とその評価2014

    • 著者名/発表者名
      江藤大,勝間亮,玉井森彦,安本慶一
    • 学会等名
      第158回DPS研究会
    • 発表場所
      東京明治大学中野キャンパス
    • 年月日
      20140306-20140306
  • [学会発表] 作物の生育に伴う太陽光発電量変化を予測したモバイルセンサノードによるフィールド被覆法2013

    • 著者名/発表者名
      江藤大,勝間亮,玉井森彦,安本慶一
    • 学会等名
      マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム
    • 発表場所
      北海道帯広市十勝川温泉
    • 年月日
      20130711-20130711
  • [学会発表] 太陽光発電を用いた可動式WSNの海上フィールドの半永久被覆のための配置ノード数最少化手法2013

    • 著者名/発表者名
      上野弘考,勝間亮
    • 学会等名
      マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム
    • 発表場所
      北海道帯広市十勝川温泉
    • 年月日
      20130710-20130710

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公開日: 2015-05-28  

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