研究課題/領域番号 |
25730063
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
古閑 宏幸 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (20433401)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | キャッシュ / トランスポートプロトコル / トラヒック制御 / コンテンツ指向型ネットワーク |
研究概要 |
本研究では,ネットワーク内にコンテンツが分散キャッシュされるコンテンツ指向型ネットワークにおいて,(1)効果的にキャッシュを分散配置するための制御手法と(2)効率的にコンテンツを伝送するためのトランスポートプロトコルに関して検討を行い,分散キャッシュを有効利用するトラヒック制御手法の研究開発に取り組んでいる.今年度の研究成果は以下のとおりである. (1)中継ノードにおけるキャッシュアルゴリズム 効果的にキャッシュを分散させるためには,コンテンツ伝送経路上に存在する中継ノードの限られたキャッシュ容量を有効活用し,キャッシュヒット率を高める必要がある.そこで,まず中継ノードにおいてコンテンツを透過的にキャッシュした場合に各中継ノードが保持するキャッシュ傾向を分析し,問題点を明らかにした.その課題を解決するため,従来のキャッシュ破棄アルゴリズムに加え,コンテンツ要求履歴に基づきキャッシュを保持すべきかどうかを選択するアルゴリズムを提案し,その有効性をコンテンツの人気度に着目したシミュレーション評価により示した. (2)誤り訂正・圧縮技術を用いたトランスポートプロトコル コンテンツ指向型ネットワークでは従来よりもさらに遅延特性や帯域利用効率が重視される.そこで,低遅延でコンテンツを取得できるようにするため,再送による消失パケットの回復に依存せず,前方誤り訂正技術を用いて伝送効率を高めるトランスポートプロトコルを提案し,特に高遅延環境下において高い有効性を示すこと,および解決すべき課題について明らかにした.また,中継ノードにおける転送待ち時間を利用して効果的にオンライン圧縮を行うトランスポートプロトコルを提案し,その有効性や圧縮ブロックを形成するフロー集約粒度とスループット性能の関係についてシミュレーション評価により明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,コンテンツキャッシュの効果的な分散配置手法および効率的なコンテンツ伝送のためのトランスポートプロトコルと大きく2つの課題から検討を進めている.前者に関しては,従来手法を用いた場合の各中継ノードが保持するキャッシュ傾向の分析結果を踏まえ,無駄なキャッシュ更新を抑制し,キャッシュヒット率を高めるためのキャッシュ保持アルゴリズムを検討した.後者に関しては,遅延特性や帯域利用効率を改善する手法として,前方誤り訂正技術やオンライン圧縮技術を用いたトランスポートプロトコルを検討した.よって,両課題について,当初の予定通り研究が進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度実施した各要素技術の検討結果を踏まえ,キャッシュ技術とトランスポート技術を連携しながら分散キャッシュを積極的に利用する手法へ発展させる.キャッシュ技術に関しては,各中継ノードが持つ限られたキャッシュ容量を有効活用するために,近隣の中継ノードが連携して,それぞれ異なるキャッシュを分散保持するための手法を検討する.トランスポート技術に関しては,より現実的な環境を想定し,ネットワーク状況に応じた冗長パケットの生成や冗長度の決定を行うための手法を検討する.また,分散キャッシュを効率的に取得するためのトランスポート技術の検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度予定していた研究会への参加が困難な状況になったため,次年度に使用する予定の研究費が生じた. 次年度においては,今年度実施した研究成果を含め,より積極的に国際会議および国内研究会で成果発表を行うために必要な旅費や参加費として利用する.また,提案手法の有効性を検証するために,開発・評価用のPCやネットワーク機器などの購入に利用する.
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