研究課題/領域番号 |
25730071
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
岡部 誠 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40557211)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グラフィクス / 流体 / CTスキャン / 質感 / テクスチャ合成 |
研究実績の概要 |
ユーザが少ない労力で炎,煙,爆発など,3次元流体を作ることのできるイメージ・ベースな手法を提案した.提案手法の入力は2枚の直交視点画像のみである.そのため,流体撮影時のスタジオ・セットアップが簡単である.既存のイメージ・ベースの手法では,多くのカメラを流体の周囲に配置する必要があったが,提案手法では2つのカメラがだいたい直角になるように配置できれば良く,カメラ・キャリブレーションも不要である.動画が与えられた後は,提案手法が自動的に3次元ボリュームを作る.また、2枚の入力画像の両方に同じ画像を使えば,単一画像のみからでもある程度の3次元ボリュームを作ることができるので,実質的には流体を撮影した動画が1つありさえすれば,それを元にして3次元流体アニメーションを作ることができる.ユーザの更に結果のアニメーションを流体シミュレータに読み込んで、物理パラメータを編集できる.
この技術はコンピュータグラフィクスとインタラクション技術のトップ会議である,ACM SIGGRAPH 2015での口頭発表及びACM Transaction on Graphicsでの論文発表に採択された.技術的には,既存のCTスキャンのアルゴリズムを拡張したものである.画像の見た目の情報(質感情報と言ってもよい)を使ったregularizationを組み込んだ定式化を行い,それをexpectation maximizationのフレームワークで効率よく解く方法を提案した,という点が評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一動画を基にして3次元流体アニメーションが簡単に得られる手法を提案することができた。この手法を用いることで、3次元流体アニメーションデータベースを構築することができ、計画通り、データドリブンな3次元流体アニメーション製作のための技術開発を続ける事ができる。
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今後の研究の推進方策 |
3次元流体アニメーションデータベースの作成とその活用方法について研究を続けていく。また、面白い問題も見つかっている。上記で述べた手法は、流体には上手く動作するが、樹木や臓器等、CTスキャンでよくキャプチャされる他の3次元形状には上手く動作しないことが分かっている。これは、現在扱っている質感情報が流体の質感は上手く捉えられるが、他の物体の質感を捉えきれていない、ということを意味する。そこで、フレームワークはそのままに、質感情報の拡充を行って、より多くの形状をを単一画像からモデリングできるようにすれば、より、手法の汎用性が広がると見込まれる。
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