最終年度は、3次元流体動画の生成手法の完成と、その対外発表、また、この技術を用いて3次元流体動画のデータベース構築のための研究を行ってきた。3次元流体動画の生成手法とは、主に前年度に開発した、疎な多視点動画から3次元流体ボリュームを生成する手法を指す。この手法は炎や煙などの流体を、単一のカメラで撮影した動画からでも、流体の3次元形状を自動的にモデリングできる他、それを流体シミュレータに読み込めば、物理特性を更に細かく編集できる、という手法である。従って、流体が撮影された動画が用意できれば、それらに本手法を適用することで、自動的に3次元流体動画のデータベースを構築することもできる。 この技術は従来のCTスキャンのアルゴリズムを発展させたものである。従来のCTスキャンは観察対象の物体を多視点から撮影し、それらの画像全ての組み合わせで3次元形状をモデリングする。提案手法は単一視点から撮影した画像のみから、多視点から撮影された画像を推定し、それらの組み合わせで形状をモデリングする。モデリング手法を数学的に定式化し、最適化手法のアルゴリズムを提案し、論文にまとめた。 平成27年度は、この技術をACM Transactions on Graphicsの論文にまとめると同時に、国内外の会議で発表を行ってきた。特にACM SIGGRAPH 2016での口頭発表を行ったが、SIGGRAPHはコンピュータグラフィックス分野の世界最高峰の会議であり、ここで発表できたことは大きい。また、国内では、画像電子学会からVC賞、情報処理学会グラフィクスとCAD研究会からGCAD賞、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU) 2015からMIRU インタラクティブ発表賞を頂いた。また、国内会議Visual Computing 2015において、招待講演を行った。また、国内外の特許も取得した。
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