研究課題/領域番号 |
25730078
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長谷川 恭子 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (00388109)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 融合可視化 / 粒子ベースレンダリング |
研究概要 |
本年度は「粒子ベースレンダリング」のための粒子生成方法の開発を行った.粒子ベースレンダリングで粒子は確率的に一様に独立して生成する必要がある. 数値シミュレーション結果を可視化するためには,ボリュームレンダリングを用いた全体的な可視化や等値面による可視化だけではなく,任意断面上の結果を可視化する必要がある.任意断面を描画する場合に,ボリュームレンダリングと同様の不透明度マップを用いて色だけではなく不透明度も適用したサーフェスの描画を実現した.ボリュームレンダリングの場合には,各ボクセル内の粒子密を不透明度に従って変更することで,不透明度マップに従った可視化を実現していた.また,等値面を可視化する場合には,不透明度に従った密度値でサーフェス上に粒子を生成することで,一様な不透明度をもつサーフェスを可視化してきた.そこで,任意断面上に三角パッチを定義し,各パッチで定義される不透明度に従って粒子密度を決定し,その粒子密度によって不透明度の調整を行った.これにより切り出した任意断面においてその不透明度に応じて粒子生成間隔を調整することで,非一様な不透明度をもつサーフェスの可視化が可能になった.これにより,従来のポリゴン可視化で可能であった可視化方法を粒子ベースレンダリングを用いても実現可能にし,さらに,粒子ベースレンダリングの特徴であるボリューム・サーフェスの融合可視化の有効性を示すことが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「粒子ベースレンダリングの高速化」および「メッシュフリー法を用いた雑形状の3次元数値解析手法の応用」を目指していた. 粒子ベースレンダリングでは粒子は確率的に一様に独立して生成されるため,本年度は粒子生成の並列化,特にGPU化による高速化を実現する予定であったが,数値シミュレーション結果を可視化するためには,ボリュームレンダリングを用いた全体的な可視化や等値面による可視化だけではなく,任意断面上の結果を可視化する必要があると考え,任意断面上において不透明度が非一様となる断面の可視化手法の開発を行った.この可視化手法は部分的に粒子密度を変化させるような手法であり,考案していた粒子生成手法の並列化が適用可能である. 複雑形状を対象としたメッシュフリー解析手法では,解析対象形状を陰関数曲面として定義することにより,解析対象領域の内外判定を容易にして解析を実現してきた.本年度は大変形を伴う場合における数理モデルの考案を行ったが実装には至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
粒子ベースレンダリングの高速化と高品質化において,数値シミュレーション結果を可視化するために必要な可視化手法の提案に加えて,高速化の実現を目指す.高速化についてはGPUを用いた技術の開発を行う.しかしながら,可視化の為に粒子数が数千万点以上必要なため,GPU化においてはメモリコストについて注意する必要がある.粒子ベースレンダリングは,生成した粒子を数セットに分割して投影し,最終的に画素ごとに平均を行うことで半透明な画像が生成される.このセットの数に比例して画像の品質が向上しそれに伴い生成する粒子数も増大する.粒子数が増大するような場合においては,粒子を再利用することでメモリコストの削減が可能であると考える. 複雑形状を対象としたメッシュフリー解析手法では,大変形を伴う場合における数理モデルの数値コードによる実現を目指す.形状モデルの変形に関してはメッシュフリー法の1つであるElement-Free Galerkin Methodを利用した形状変形アニメーション技術と提案手法の比較を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していたPCより性能が上位のPCが安価に購入できたため差額が生じた. 可視化用の実験データが1つにつき数GBを超える膨大データ量となるため,次年度使用分のパソコン関連消耗品を購入にあて,データ保存を行う.
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