研究課題
本年度は粒子ベースレンダリングによる可視化の高品質化を行い,また,シミュレーションデータの可視化手法の提案を行った.粒子ベースレンダリングを用いて大規模ポリゴンデータや大規模ボリュームデータを可視化する場合に,意図しないレンダリング結果(アーチファクト)が出現し,精細な描画ができなくなる.本可視化手法では,半透明な曲面の描画のために,粒子密度を決定する.そのためアーチファクトが発生する原因として考えられることは,粒子断面積がポリゴンやボクセルなどの描画単位が粒子より大きくなり,適切な粒子密度の計算が出来なくなっているためである.粒子断面積は1ピクセルに対応しているため,この問題を解決するために,粒子断面積を小さく即ち出力画像の解像度を高くすることで解決を図った. これにより,粒子断面積がポリゴンやボクセルの面積より10倍程度以上大きい場合には,レンダリング結果ではアーチファクトが出現しないことが確認できた.また,粒子シミュレーション結果を粒子ベースレンダリングを用いて可視化する手法を提案した.粒子シミュレーションでは従来,ポリゴンなどを用いた可視化手法を用いており,数億点規模の粒子データを半透明で可視化することができず,粒子を間引いて表示するなど工夫して可視化していた.そこで,粒子シミュレーションで得られるデータが3次元点群データであることを活かし,粒子ベースレンダリングを直接適用することで,間引かずに全ての粒子を可視化することができた.また,ただ可視化するだけではなく,粒子シミュレーションによって得られる流速や渦度などの物理量を強調し,視覚的な把握を容易にするような可視化を実現した.
2: おおむね順調に進展している
本年度は,「粒子ベースレンダリングの高品質化と高速化」および「メッシュフリー法を用いた雑形状の3次元数値解析手法の応用」を目指していた.近年のデータの大規模化や表示装置の高解像度化にともない,大規模データへの対応や高解像度な可視化結果の作成が望まれている.粒子ベースレンダリングで大規模ポリゴンデータや大規模ボリュームデータを高精細かつ高解像度な可視化結果を作成した際に,意図しないアーチファクトが出現したため,本年度はその解決に努めた.また,大規模データとして粒子シミュレーション結果の可視化を実現し,その有用性が確認できた.複雑形状を対象としたメッシュフリー解析手法では,解析対象形状を陰関数曲面として定義し,解析対象領域の内外判定を容易にして解析を実現してきた.本年度は大変形を伴う場合における数理モデルの実装を行った.
粒子ベースレンダリングの高速化の実現を目指す.高速化についてはGPUを用いた技術の開発を行う.粒子シミュレーションの可視化で実現したように,既に大量の粒子が存在している場合は,シミュレーヨンで用いた粒子を活かして高速な可視化が実現できる.しかしながら,メッシュフリー法のようにシミュレーションに用いる粒子は大量にはなく,場の関数が用意されている場合においては,可視化の為に粒子数が数千万点以上の粒子を生成する必要がある.粒子ベースレンダリングは,生成した粒子を数セットに分割して投影し,最終的に画素ごとに平均を行うことで半透明な画像が生成される.このセットの数に比例して画像の品質が向上しそれに伴い生成する粒子数も増大する.GPUでの実装を考えた場合には,粒子数が増大するような場合においては,粒子を再利用することでメモリコストの削減が可能であると考える.複雑形状を対象としたメッシュフリー解析手法では,大変形を伴う場合における数理モデルの数値コードによる実現を目指す.形状モデルの変形に関してはメッシュフリー法の1つであるElement-Free Galerkin Methodを利用した形状変形アニメーション技術と提案手法の比較を行う予定である.
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (13件) 備考 (1件)
J. Adv. Simulat. Sci. Eng.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
巻: vol.1(1) ページ: 5-15
10.15748/jasse.1.5
巻: vol.1(1) ページ: 16-35
10.15748/jasse.1.16
http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/95/0009479/profile.html