バーチャルリアリティ(VR)技術を用いたデータ可視化の高効率化を目的として、CAVE型VR装置用可視化ソフトウェアVFIVEを、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型VR装置であるOculus Rift上で動作するよう、プログラムの移植を前年度に引き続き実施した。前年度までの研究において未実装だった可視化機能について移植をほぼ完了させると共に、同じく未実装であったメニュー選択による可視化機能の切り替えや、適用する可視化パラメータの変更についても、Oculus Riftのヘッドトラッキング機能とワイヤレスコントローラでの操作を組み合わせることにより、CAVE型VR装置での実行時と同様の操作を可能とした。更に、Oculus Rift前面に取り付けた二眼カメラで取得した実映像に対して3-D CGによる可視化結果をオーバレイ表示することにより、装置を装着していない他者との間でコミュニケーションを取りながら可視化作業を進めることも可能とした。これはCAVE型VR装置用VFIVEには無い新しい機能である。本移植により、大型かつ高額なCAVE型VR装置を持たずとも、研究者はデスクに居ながらにして没入感の高いVR環境での可視化を行うことが可能となった。 前年度までに実施した、VFIVEの操作履歴中から一定条件を満たす操作群(再適用に値する有効な操作群)のみを抽出するための手法の検討および操作履歴の表示および取捨選択のためのユーザインタフェースの開発および評価と併せて、全研究期間を通じて本研究の主目的であるVR可視化の高効率化に資する研究を実施することができた。
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