研究課題/領域番号 |
25730083
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
面 和成 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (50417507)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | データ認証 / 準同型性 / 認証子 |
研究概要 |
データ同士の演算が必要なデータ認証プロトコルにおいては,認証子同士の演算を可能にする準同型認証子が重要な暗号要素技術となっている.クラウドシステムにおける効率的なデータ認証プロトコルを構築する際,データの変更に伴って認証子も変更する必要があるため,準同型認証子を適用することは非常に有効である.平成25年度は,秘密鍵が異なる複数の利用者にも対応した新たな準同型認証子の構成をより具現化するために,具体的なクラウドシステムモデルを想定して準同型認証子とその応用に関する研究を実施した.その結果,(1)準同型認証子の応用,及び(2)新たな準同型認証子の構成及びその適用性についての研究成果が得られた. (1)については,上記研究過程において得られた平成25年度の研究成果が国際会議AINA2014(2014年5月発表予定)に採録された.これは,クラウドサーバにおけるデータの改ざん検証及びデータの回復を効率的に実現するためのアルゴリズムに関する研究であり,準同型認証子をうまく適用することによって実現される.具体的には,あるクラウドサーバ上のデータが消失した場合,残りのクラウドサーバに保存されているセキュアなデータを集めてそれらを演算処理する必要がある.このとき,通常の認証子では認証子の再計算が必要になるが,準同型認証子を使用することにより認証子の再計算が不要となり,認証子のままでの処理が可能となる.したがって,クラウドシステムにおける余計な通信や計算が不要となる利点がある. (2)については,具体的なクラウドシステムモデルを想定して,それにうまく適用できる新たな準同型認証子の構成を検討しており,構成の設計に関して一定の成果が出ている.この秘密鍵が異なる複数の利用者にも対応できる新たな準同型認証子とその応用に関する研究成果については,平成26年度内に国際会議に投稿することを目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目標は,準同型認証子による現実的で効率の良いデータ認証手法における「提案準同型認証子の詳細設計」であった.これについては,上記研究実績の概要でも述べたとおり,具体的なクラウドシステムモデルを想定して,それにうまく適用できる新たな準同型認証子の構成の詳細に関して一定の成果が出ている.これに関する研究成果については,国際会議の投稿に向けて具体的に詰めているところである.また,これとは別に,平成26年以降に計画されていた準同型認証子によるデータ認証手法の応用における「準同型認証子の応用」の研究成果が先に得られており,この研究内容が国際会議AINA2014(2014年5月発表予定)に採録された.ここでは,準同型認証子をうまく適用することによって,クラウドサーバにおけるデータの改ざん検証及び回復を効率的に実現することに成功した.この研究成果は,新たな準同型認証子の構成に関する研究に結びつくものである.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」でも述べたが,具体的なクラウドシステムモデルを想定して,新たな準同型認証子の構成の設計が良好に進んでいる.この新たな準同型認証子をクラウドシステムに適用することにより,データの安全性を維持したまま,秘密鍵が異なる複数利用者のデータをこれまでと比べて効率的に保存できるという効果が得られる.今年度は,この新たな準同型認証子の構成に関する研究に焦点をあて,具体的に構成法の詳細を詰めると共にクラウドシステムへの適用も研究し,国際会議投稿に向けて研究成果をまとめる予定である.
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