本研究では、ヒト以外のさまざまな霊長類種を対象として、彼らの行動がどのように効率的に伝搬しうるかについて、比較認知科学的な手法を用いてさまざまな側面から実験分析した。主に、個体ベースの認知実験と集団ベースの行動実験を実施し、彼らの認知特性を測定した。得られた結論として、生存戦略に直接関与する脅威を理解したり発見する認知能力や、養育行動を維持するための認知能力については、比較的学習が進みやすい認知傾向があることが明らかとなった。そのうえで、母子間であったり社会ネットワークに応じた行動伝播の様式があることが示唆された。
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