研究概要 |
本研究では、断片文字を用いて、視覚補間と呼ばれる断片的視覚情報を認知できる能力を、定量的に計測し、視覚補間に関与する脳活動をfMRIで解析する。さらに、加齢および認知症の危険因子との関連性を調べることで、断片文字の認知力による認知症の危険予測の可能性を検討する。 平成25年度は、購入した高速視点追跡装置ViewPoint EyeTracker(90 Hz, Arrington Research, USA)を用いて、断片文字の認知におけるヒトの視点変化を測定した。2値画像の断片文字の各部分における視線の停留時間を統計した結果、残された部分だけではなく、欠けている部分の停留時間も相対的に長いことがわかった。欠けている部分を見て、脳内で補うことが示唆された。欠けている部分、つまり背景となる部分の情報量も定量的に評価する必要があることが示された。最短距離連結モデルにおける連結閾値を検討した結果、閾値は30-50ピクセルの場合に連結した断片文字と、元の断片文字の認知率と関連性があることが示された。断片文字の認知を通して、視覚補間の神経生理学的メカニズムを解明するため、高知工科大学脳コミュニケーションfMRI(3.0T, Siemens, Germany)を用いて、断片文字の認知に関わる脳部位を特定する実験を実施した。
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