ヒトは複数の対象を意味のある一つのまとまりとして知覚する。本研究では、この知覚的まとまりのうち、ヒト特有なものとは何かをヒトとチンパンジーの比較研究から検討するとともに、その発達的変化をヒト乳幼児と成人の比較から検討した。一連の研究において、課題とは直接関係のない文脈が付加されるとき、それらが知覚的にまとまる場合には課題成績が向上するというパターン優位性効果に注目した。幾何学図形を用いた実験では、ヒト以外の霊長類やヒト乳幼児でもヒト成人同様のパターン優位性効果が見られたが、顔に関してはパターン優位性が見られなかった。視線はそれが向かう先にある物体と一つにまとまり知覚されることが示された。
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