研究課題/領域番号 |
25730111
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田口 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70508415)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音声情報処理 / 言語獲得 / シンボルグラウンディング / ロボット / 発話理解 |
研究実績の概要 |
本研究では,ユーザの自由な言い回しから高精度に単語学習が可能な手法と学習した知識を利用した語彙学習手法を併用することで,より実用的な語彙学習手法を開発することを目的としている.また,ナビゲーションタスクなど自然なインタラクションの中で学習を行う手法を検討する.平成26年度に実施した取り組みを以下に示す. (1) ナビゲーションタスクのインタラクションデータを収集した. (2) ロボットが人の命令を理解し,動作するためには,認識可能な単語や文法,および,それらに対応する行動を事前に設計する必要がある.しかしこの場合,事前知識に無い単語が発話された場合,ロボットは動作することができない.例えば,「発話:前に進んで」に対し「行動:前進」を実行するように設計されている場合,「前方に行って」と発話してもロボットは適切に行動できない.そこで,命令理解のための事前知識を用いた音声認識と,ユーザの自由な言い回しから単語学習を行う手法を併用することで,未知の単語を含む命令発話から,その単語の音韻系列と対応する意味IDを推定する手法を開発した.本手法を利用すると,先の例の場合には,「前方」が「前」と同義であり,「に行って」が「に進んで」と同義であることを学習する.このようにインタラクションデータを元にロボットが語彙を拡張していくことで,ユーザの多様な言い回しに対応することが可能となる. (3) ユーザがロボットに物体を見せながら,その名前を教える場合,ユーザが物体を任意に回転させるため,物体全周の画像が均等に得られないという問題がある.そこで,自己組織化マップとBag of Featuresを併用することで,見えの変化を自動的に吸収できる語意学習手法を開発した.Bag of Features単体と比べ,識別性能の向上が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通りに,研究が進んでいる.当初は,「言い回しの学習が進むにつれ学習が効率化していく」ことも平成26年度に示す計画であったが,順番を入れ替えて平成27年度実施予定であった「命令発話からの学習機構」を先に開発した.学習の効率性に関する評価実験は平成27年度に実施予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に開発した手法は,命令に含まれる未知の単語に対応するものであったが,平成27年度は,未知の文法や意味に対応できるように手法を改良する.また,ナビゲーションタスクと物体名の学習タスクを混在した環境下での実験を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではシステム開発の人件費として平成25年度,平成26年度併せて150,000円を計上していたが,研究代表者本人がシステム開発を実施したため現時点では未使用となっている.また,平成25年度,平成26年度には学生の旅費が発生しなかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は学生の研究調査旅費を本件から支出する.また,実験に必要なロボット用部品を追加で購入する予定である.
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