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2013 年度 実施状況報告書

フォグディスプレイを用いた立体像提示によるテレイグジスタンスシステム

研究課題

研究課題/領域番号 25730121
研究種目

若手研究(B)

研究機関大阪大学

研究代表者

井村 誠孝  大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50343273)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードヒューマンインタフェース / バーチャルリアリティ / 立体ディスプレイ / 臨場感コミュニケーション / テレイグジスタンス
研究概要

本研究の目的は,フォグ(霧) スクリーンへの映像投影により,全周囲からの立体視が可能なディスプレイシステムを構築することである.フォグが光を前方に強く散乱させることを利用して,単一のフォグスクリーンに複数のプロジェクタから映像を投影し,観察者の視点に応じた映像を提示する.平成25年度は,最終的に開発予定である遠隔地間を結ぶテレイグジスタンスシステムを実現するための基礎技術となる,以下の技術の開発に焦点を当てて研究を遂行した.
(1)フォグによる光の前方散乱強度の制御: 2種類の異なる粒径のフォグの生成を実現した.(2)非平面スクリーンへの投影に際しての映像補正: 通常のプロジェクタは平面への投影を前提として設計されているため,円筒形をしたフォグスクリーンへの投影では歪みが生じる.平成25年度は,提示したい物体をレンダリングした画像を,フォグスクリーンの形状に対して逆投影した映像をコンピュータグラフィクスで生成して投影する双対レンダリングにより,スクリーン形状に合わせた歪みのない画像の提示を実現した.(3)インタラクションシステムの構築: 観察者の動作を計測するために赤外線カメラを利用し,照射した赤外光の反射光をカメラで観測することで,マーカなしに観察者の手や腕の位置および姿勢を測定することを実現した.(4)画像の鮮明化: フォグスクリーンによる散乱のための像のぼけを軽減するために,フォグによるぼけの点拡がり関数を推定し,あらかじめボケの逆フィルタを提示画像に適用しておくことにより,鮮明な画像の提示を行った.(5)画像処理の高速化: ユーザインタラクション部分の基礎技術である画像処理の一部を,GPU(Graphics Processing Unit)を用いて実行するようにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の研究計画調書の研究計画・方法には,平成25年度と26年度の2年間で計9個の項目を記載しているが,平成25年度はうち4項目についておおむね順調に実施することができた.またこれとは別に,研究の基盤技術となる画像処理技術に関する高速化を達成した.
平成26年度に行う予定であった項目である画像の鮮明化を,平成25年度に前倒しで実施した.これはフォグディスプレイの画質を向上させる可能性のある要素技術の適用可能性を探り,最終的なシステムでの利用を検討するためである.
投影面となるフォグの形状生成といったディスプレイデバイスの構築はやや遅れ気味であるが,全体としてはおおむね順調に進展していると考えている.

今後の研究の推進方策

平成26年度が最終年度となるが,前半はフォグスクリーン自体の開発を主に行う.具体的には,フォグスクリーンの形状制御として提示するバーチャル物体の形状に合わせてフォグ噴出口のパイプの開閉を制御し,フォグスクリーンの自体の形状を変形させること,および,複数の粒径のフォグの混合による散乱特性の制御技術を確立することにより,ディスプレイの立体感の向上を狙う.またフォグスクリーン自体の安定化,および,装置の小型化にも取り組む.
映像投影に関しては,プロジェクタと鏡によるバーチャルプロジェクタの構成により,複数のプロジェクタの使用と同等の効果を得ることを狙う.映像の投影に関しては,正面から見た場合にどうしてもプロジェクタの光源が眩しすぎるという問題があるため,従来の研究計画には無いが,本問題を解決するためのプロジェクタの構成手法についても検討する.
また,バーチャルな物体の提示にあたっては,複数の感覚を同時に刺激することで体験者の感じるリアリティが向上すると言われている.本研究においても視覚以外の感覚提示について検討する.特に嗅覚提示および触覚提示の併用を考える.
最終成果物として,遠隔地にいる人物の様子を転送し,フォグディスプレイに立体的に提示するテレイグジスタンスシステムを構築する.遠隔地の物体のバーチャルな転送を実現するために,対象を複数の距離カメラを用いて全周囲から撮影する.色および形状の統合を行った後,ネットワークを介して送信し,CG 技術を用いてレンダリングすることで,フォグディスプレイに投影する.

次年度の研究費の使用計画

本研究の最終目的である,遠隔地間を結ぶテレイグジスタンスシステムを実現するためには,ユーザの3次元情報の計測システムおよび本研究の主たる開発対象であるフォグディスプレイシステムを実用可能な水準で構築する必要がある.テレイグジスタンスシステムを適切に動作させるためには,特にディスプレイ装置の設計を詳細まで詰めて行う必要があったため,検討に十分な時間を割いた上で,平成26年度にシステムの構築を行うのがより適切であると考えた.このため,平成26年度への研究費の繰り越しが必要となった.
二地点間を結んだテレイグジスタンスを実現するために,フォグディスプレイおよびユーザ計測システムを二組構築する必要があり,これに繰り越し分の予算を使用する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 画像連結領域ラベリングのCUDAによる並列化

    • 著者名/発表者名
      井村誠孝, 浦西友樹, 黒田嘉宏, 大城理
    • 学会等名
      新画像システム・情報フォトニクス研究討論会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] Connected Component Labeling on GPU based on Raster Segment Pair Approach

    • 著者名/発表者名
      Masataka Imura, Yuki Uranishi, Yoshihiro Kuroda, Osamu Oshiro
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 多視点観察可能なフォグディスプレイにおける画質向上手法

    • 著者名/発表者名
      井村誠孝, 浦西友樹, 黒田嘉宏, 大城理
    • 学会等名
      日本バーチャルリアリティ学会大会
    • 発表場所
      大阪

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公開日: 2015-05-28  

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